探偵の相方

『まず初めに、紹介したい奴が居るんだ。石田 真理(いしだ まり)って奴なんだけどよ。実はこいつ、すげえ奴なんだ。普段はあんま喋んないから何考えてんのかよく分からない奴に見えるけどな、今までにここいらで起きた幾つもの難事件を解決に導いてるんだぜ。
俺達の出会いはあいつが小一の頃、寝てる俺を無理やり起こして、いきなり相方宣言しやがったんだ。最初は訳が分かんなかったな。けど一緒に事件を解決していく内に、こいつの相方も悪くない・・・って思えてきてな、今じゃ最高の相方さ。まあ基本的にあいつが考えて行動して、俺はそのサポートって感じかな?例えるならホームズとワトソン?・・・なんか違うな・・・。
おっと、誰か来たようだ。う~ん、新たなる事件の予感・・・。』

この中学校には石田 真理という少女が通っている。彼女は物静かで一見すると目立たない。だが今までに大人よりも早く、幾つかの事件を解決したという実績がある。そんな彼女の元に数人の生徒がやって来ていた。
「石田さん、実はここ一週間の間に色んな物が盗られているんだ。犯人もその目的も不明で先生にも相談にいったんだけど・・・。石田さんお願いだよ!」
彼女は黙って首を縦に振る。
「ありがとう!それと、今までに誰の物が盗られたかを表にしておいたんだ。役に立てばいいんだけど・・・。それじゃ。」
その生徒は一覧表を彼女に渡して去っていった。

『おい、石田。もう少し何か言ったらどうだ?』
しかし彼女は表を見つめて何も言わなかった。
『俺に【喋る】のの十分の一ぐらいでいいから喋ったら?』
しかし彼女はそれには答えず【喋り】始めた。
『まず事件を整理してみよう。』
『この仕事人間め。』
『この事件は、ここ一週間の間に色々な物が盗まれるという事件である。
盗まれた物は
翼(つばさ)の髪飾り
寧々(ねね)ちゃんのペンダント
一輝(かずき)君の万年筆
アキラ君のビー玉
阿久根(あくね)さんの家のハンガー』
『なんだ?共通点が見つからないぞ?』
『一見したところ共通点が見当たらないが、各犯行時期が接近しているため、一つの目的のために行われていると思われる。』
『目的ねー、普通に考えるなら金だよな。万年筆ぐらいなら金になるか?』
『盗まれた物の中で高価な物といえば、万年筆、ペンダント、髪飾り。しかし、これらは物によれば高価というだけであり、金が目的ならば財布などの別の物が狙われるはずである。よって犯人は金銭が目的ではない。』
『金じゃなきゃ何だ?単なるいたずら?愉快犯か?』
『窃盗行為はその場で捕まる可能性が高く、目的が無差別の嫌がらせならば他の方法を選ぶのが自然である。よって犯人は愉快犯ではない。』
『ふう~む、となると犯人の目的は一体・・・?』
『盗まれた物の中から事件を解くヒントになりそうな特徴的な物がないか考える。』
『そうだなぁ・・・ハンガーだけ家から盗られてるが・・・。』
『一番特徴的な物はハンガーである。人間の視点からは不自然な盗品である。なぜ犯人はハンガーを盗んだのかを考える。犯人は――――人間ではない?』
『―――そうか!カラスだ!ハンガーはカラスの巣材!残りは全部光物!カラスの好む物だ!決まりだな相方!』
すると彼女は鞄から一枚の地図を取り出した。
『ほう、カラスの生息地図か。よく作ったな。』
『犯人をカラスだと仮定すると盗まれた物は巣の中にある。カラスは前年と同じ場所に巣を作る。ただ、生息地図通りに巣があるかは疑問だ。最近この辺りは郵便ポストが撤去されたように、工事や建て替えが相次いでいる。』
『だが縄張りがあるから近くに新しい巣が出来てるかもな。』
『地図を元に今年のカラスの巣の捜索を開始する。』
彼女は地図を持って町へと出掛けていった。
『いってらっしゃーい。』


『さて、その後どうなったかって?もちろんビンゴさ。これであいつはまた一つ有名になったのさ。しかし犯人が人間じゃなかったとはな、俺としたことが・・・。
ん?俺が誰かって?実は俺も人間じゃないんだ。お前も石田みたいに推理してみれば?なーに、すぐに分かるって。』




 石田 真理が小学一年生の時、彼女は学校の近くにある文房具店にやって来た。商品を色々見て回った後、彼女は棚から一冊のノートを取り出して言った。
「今日から私があなたの相方よ。」

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この記事へのコメント

2012年04月29日 04:13
幼馴染の探偵ラブコメかと思いきや、またしても意表を突かれました。『』で喋ってるのがポイントだったんですね。人間じゃないとしても犬か猫あたりかと思っていたら、まさかの。
前作の少女が、この石田さんなんですね。自分の考えをノートに書きながら整理していく手法は、まるで作家のようですね。
2012年04月29日 07:20
>アッキーさん
またしても意表を突けてニヤニヤ。前回は郵便ポストで今回はノート、人ではない何かが次々と出て来ます。
石田さんのこの手法は私も時々やってます。彼女と違って走り書きですけど、仕事が多い時や考えがまとまらない時は便利です。
2012年04月29日 07:41
ハンガーが出てきたところで、事件の犯人についてはすぐに見当がつきましたが、相方の正体は最後の一文を読むまではまったく見当がつきませんでした。
私も文房具屋は大好きで、時間が許せばいくらでも棚を見て回りたいという気分になります。
2012年04月29日 09:46
>すずなさん
読者をいい意味で騙せてニマニマ。ただ、最後のネタばらしで納得してもらえるように気を付けています。
私もこの前、文房具屋さんに寄りました。買いはしなかったけれど、色々と面白い商品がありました。トレス台なんかはあれば絵を描くのに便利そうだし、針なしホッチキスも便利そうだし、可愛いハンコもあったし。
基本は見る専門の私。

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