お天気雨(前編)

白木 翼(しらき つばさ)。わたくしのクラスの中で最も異彩を放つ存在。
白木 翼、あなたは凄い。わたくしは本気でそう思っている。でも、あなたはきっと自分の実力の十分の一も、百分の一も、千分の一も出していない。そして、そのことを巧妙に隠している。きっとそれに気がついているのはわたくしだけ。
白木 翼、今一番気になる存在。わたくしはあなたをライバルだと思ってる。生涯のライバルだと思ってる。でも、きっとあなたはわたくしのことを何とも思っていない。クラスメイトの一人、ぐらいにしか思っていない。
白木 翼、あなたには決して言わないだろうけど、わたくしはあなたに嫉妬している。その何でも出来る、何でも持っている、あなたに。わたくしこそが、何でも持っていると、全てを持つべきなんだと、そう思っていたのに。そう思って全てを手に入れようと努力してきたのに、あなたはわたくしの努力を軽々と凌駕する。
白木 翼、わたくしはあなたのことが知りたい。どうしてそこまで天才的なのか知りたい。一体どんな努力をしているのか知りたい。だから――――――。



わたくしの名前は黒髪 麗子(くろかみ れいこ)。黒髪財閥の跡取り娘。容姿端麗、成績優秀、持っていないのは本当の友達ぐらいのもの。小学生の時、世界はわたくしを中心に回っているって本気で思っていたわ。
でも高校に入って、白木 翼と出会った。彼女は、可愛らしい容姿、綺麗な白い髪、春風をまとったような優しくて柔らかな雰囲気、後に歩く図書館とまで呼ばれるほどの知識、よく回る知恵、そして、わたくしにはいなかった友人達。彼女の周りには自然と人が集まる。羨ましかった。眩しかった。



今日のホームルームが終わった時、白木 翼はいつもと違って急いで教室を出た。今日は用事があるらしい。わたくしはいつもと同じように帰るだけ。
正門の所に見知らぬ女性がいた。そこに白木 翼が手を振って歩いていく。

「ヨーコさん、お待たせしました。」
「お待ちしておりました、白木様。さあ、参りましょうか。」

いつも白木 翼はわたくしとは別方向に帰る。しかし、今日はヨーコという女性と共にわたくしの家の方向に歩いていく。だからこれは決して尾行している訳じゃないわ。わたくしはただ単にいつもと同じ帰り道を歩いているだけよ。

すると急に雨が降って来た。晴れてるのに雨が降るなんて、お天気雨ね。
白木 翼は手の平を天に向けて雨を受けると、向こうの方を指差し、隣の女性と顔を見合わせて走り出した。雨宿りでもするのだろうか。わたくしも自然と走り出していた。

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この記事へのコメント

2013年01月16日 23:12
これは、百合フラグ?
水太の男くさい話が始まると思いきや、意外、真逆!

八武「ここにキマシタワーを・・」
山田「まだ早い。」
2013年01月17日 00:44
火剣「黒髪麗子か」
コング「茶髪にできない」
火剣「白と黒か。白が勝ちそうだな」
コング「劣等生の味方をしたくなるのが人情」
火剣「劣等性じゃねえよ。容姿端麗、成績優秀」
コング「質実剛健・・・」
火剣「待て。友達がいないのはコングも一緒か」
コング「白木翼っていう女子はそんなに凄いのか?」
火剣「歩く図書館と呼ばれているくらいだからな。コングは歩く両国国技館か」
コング「ヨーコ? まさかスライムに襲われたあのヨーコか」
火剣「わざとBOX直行を狙うのはよせ。違うヨーコだろ」
コング「異性の嫉妬は愛情の裏返しだが、同性や才能への嫉妬は真っ黒焦げ。あまり良くない感情だ」
火剣「凄い正論だ」
コング「僕は嫉妬なんかしない。世界に一つだけの花だから。ジャンジャンジャジャン、♪どんなときも! どんなときも!」
火剣「歌が違うぞ」
コング「まあ後半戦を楽しみにしよう」
呵々闘諍
2013年01月17日 16:39
輪廻「白と黒、黒は白に憧れる。翼さんの謎が明らかに!?」
愛縷「女の子の秘密かぁ。年頃の娘だと気になることもあるだろうね。」
輪廻「意外、百合とか言い出しそうになるかと思ったよ。」
愛縷「なんでもカップリングすると思ったら大間違いだよ。」
輪廻「急にまともになるなよ…。」
2013年01月17日 23:22
>アッキーさん
今回は黒髪 麗子さん登場(正確には再登場)回でございます。書いている時はそうは思わなかったけれども、読み返してみれば、ストーカーしてる麗子さん…。百合フラグか?

ツヲ「設計図は僕が描こう。」
白龍「誰が建てるというんですか…。」
2013年01月17日 23:23
>火剣獣三郎さん
名前から髪の毛の色が決まっているようなキャラクター。もちろん髪の毛の色は黒です。白黒勝負は白が有利か?他人から見れば羨ましいものをたくさん持っている麗子さん。しかし、劣等感に苛まれているのもまた事実。昔は、自分が羨ましがられる立場だったとの思いが強いからか。ちなみに麗子さんは武道の心得も少しあります。質実剛健も間違っていない?
歩く図書館こと、翼ちゃんの凄さはこれから少しずつ出てくるかと思います。ヨーコという名前は結構多いですね。きっと違うヨーコさんでしょう。
さあ、麗子さんの嫉妬の炎は自分の髪の毛の色のように真っ黒に全てを焼き焦がすのか。他人と自分は関係ない、自分は世界にたった一人と思えたのなら、嫉妬の心ともおさらばか?麗子さんは世界に一つだけの花となれるのか。
2013年01月17日 23:23
>呵々闘諍さん
翼ちゃんの謎に白黒つける時が来たか?謎多き乙女、白木翼。正直、秘密だらけだったりして…。カップリングも関係性の一種ならば、ライバルも、仲間も、関係性の一種。翼ちゃんと麗子さんの関係も中々一言では言い表せられなかったりする?

ツヲ「カップリングでもいいと思うよ。」
白龍「カップリングって広い意味で捉えたら、結構色んなものが入る気がします。」

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