英雄再来 第十一話 ソルディエル22
そろそろ実験したいなあ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「そんでえ~、さっきから話聞いてたけど、王道具の調整の話が出たよね~。どゆこと?説明。」
老人は再び説明を求めた。それに対し、技術部の者達は誰もが答えられずに黙った。
「説明。誰か。誰でもいいよ。早い者勝ちだよ?」
どんな説明をしても老人の逆鱗に触れることが明らかだったので誰も説明出来なかった。
「説明!は~や~く~!」
そんな中、老人は段々とイライラした態度を取り出した。
「なんでえ~、説明出来ないの?自分達の言ってたことだよね。自分のことも分からないの?馬鹿なの?」
片方の目を釣り上げて、老人は近くにいた別の技術部の者を指名した。
「あのさあ、君。ジェー(ジェゼナのこと)の王道具はいつも誰が整備してんの?」
その技術部の者は背筋を伸ばして叫ぶように答えた。
「だ、大博士であります!」
「そだよ~。で、お前らに整備出来んの?」
「で、出来ません!」
「そだよ~。じゃあ、何で勝手にお断りの約束とかしてんの~?」
「そ、それは…。」
オドオドする技術部の者に対し、更にイライラを募らせた老人は片眉を釣り上げた。
「なんでえ~、出来ないことの約束しようとするの?そんなに偉いの?技術部の責任者はお前なの?」
「い、いいえ!」
「じゃあ何で約束するの?そんな勝手なことするんだ。へー、そんな勝手なことしちゃうんだ~。はいはい、分かった分かった。じゃあ、ワシも勝手なことするよ?勝手なこと言うよ?そろそろ人体実験したいんだけど、この中から選ぶよぉ!?」
まるで獅子の咆哮のような迫力で老人は叫んだ。
「ひいいいい!!」
「ご勘弁を!!どうかご勘弁を!!」
「まだ死にたくないです!!」
「ああ、大丈夫大丈夫。死にゃせんから。死ぬことだけはせんから。」
片眉を釣り上げながらもどこか半笑いの老人に、技術部の者達は恐怖を感じざるを得なかった。
「も、申し訳ありませんでした!!」
「済みません!済みません!勝手なことをして済みません!」
「どうか実験だけはご勘弁を!!」
技術部の者達はひたすらに謝るしか選択肢がなかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「そんでえ~、さっきから話聞いてたけど、王道具の調整の話が出たよね~。どゆこと?説明。」
老人は再び説明を求めた。それに対し、技術部の者達は誰もが答えられずに黙った。
「説明。誰か。誰でもいいよ。早い者勝ちだよ?」
どんな説明をしても老人の逆鱗に触れることが明らかだったので誰も説明出来なかった。
「説明!は~や~く~!」
そんな中、老人は段々とイライラした態度を取り出した。
「なんでえ~、説明出来ないの?自分達の言ってたことだよね。自分のことも分からないの?馬鹿なの?」
片方の目を釣り上げて、老人は近くにいた別の技術部の者を指名した。
「あのさあ、君。ジェー(ジェゼナのこと)の王道具はいつも誰が整備してんの?」
その技術部の者は背筋を伸ばして叫ぶように答えた。
「だ、大博士であります!」
「そだよ~。で、お前らに整備出来んの?」
「で、出来ません!」
「そだよ~。じゃあ、何で勝手にお断りの約束とかしてんの~?」
「そ、それは…。」
オドオドする技術部の者に対し、更にイライラを募らせた老人は片眉を釣り上げた。
「なんでえ~、出来ないことの約束しようとするの?そんなに偉いの?技術部の責任者はお前なの?」
「い、いいえ!」
「じゃあ何で約束するの?そんな勝手なことするんだ。へー、そんな勝手なことしちゃうんだ~。はいはい、分かった分かった。じゃあ、ワシも勝手なことするよ?勝手なこと言うよ?そろそろ人体実験したいんだけど、この中から選ぶよぉ!?」
まるで獅子の咆哮のような迫力で老人は叫んだ。
「ひいいいい!!」
「ご勘弁を!!どうかご勘弁を!!」
「まだ死にたくないです!!」
「ああ、大丈夫大丈夫。死にゃせんから。死ぬことだけはせんから。」
片眉を釣り上げながらもどこか半笑いの老人に、技術部の者達は恐怖を感じざるを得なかった。
「も、申し訳ありませんでした!!」
「済みません!済みません!勝手なことをして済みません!」
「どうか実験だけはご勘弁を!!」
技術部の者達はひたすらに謝るしか選択肢がなかった。
この記事へのコメント
ゴリーレッド「マチネも凄い国だ。こんな大博士がいたとは」
火剣「人気急上昇か。この喋り方と脅し文句。何より迫力が凄い」
コング「説明! は~や~く~! 馬鹿なの? 怖過ぎる」
ゴリーレッド「お断りの約束・・・完全に話を全部聞かれていた。万事休すか」
コング「そだよ~」
火剣「人体実験か。技術部がやろうとしていたことだが、自分が実験台となると話はたちまち別か」
コング「大博士は許すか。それとも」
ゴリーレッド「大博士とジェゼナが会話するまでは油断禁物だ」
言葉や態度こそ短気ですが、思想や思考は逆に気が長いように思えます。思考が気短なのは、叱られている技術部の面々なんですね。
そしてジェゼナ隊長はまんまJでしたか。ジェゼナと大博士の関係は、後のソルディエルとアウトマの関係を彷彿とさせます。
維澄「気短な思想は、視野を狭め、自分たちの点検を行わなくなる。誰しも孕んでいる病理だね。」
八武「ここで反省できたからこそ、後のアウトマがあるわけだねぃ。」
山田「なるほど、ソルディエルと面会したときのアウトマは反省していたな。」
佐久間「というか、整備は大博士しか出来なかったのか・・・。」
山田「そこは俺もツッコミが追いつかない。こいつらの存在意義は一体。」
神邪「それこそが粗暴な物言いに繋がっていたのかもしれないですね。自分たちの存在意義を早く確立しようと、躍起になっていたという。それが気短ってことですか・・。」
おそらくはマチネが魔法使いの国々を滅ぼすまでに成長するにあたって必要不可欠だった人物の一人がこの大博士です。技術部のトップはこんな人。明るい時から急に怖くなったり、怒ったりと、次にどうなるのか読めないのも大博士の何をしでかすか分からない恐怖を増幅させています。しかも、先程の技術部の者達が言ったことは全て聞かれていました。自分の領域で勝手なことをされて、かなりご立腹の大博士。許すのか、それとも部下であっても生きたまま実験体にするのか。果たして…。
マチネは生き残るために能力が一番高い者が一番上にいるという構図が確立しています。無能な者がトップにいれば魔法使いに勝てないという理屈。特攻隊のトップにジェゼナがいるように、技術部のトップには大博士が。
ジェゼナは、実は彼女の村の名前。それを大博士が省略してジェーと言っています。ただ、特攻隊のコードネームはアルファベットから来ていることが多いし、実は大博士も…?
大博士とジェゼナの関係は、後のアウトマとソルディエルの関係に近いかもしれません。そして、アウトマはここで反省出来たので先があった。ここで反省出来なければ本当に…。
王道具の整備は基本、技術部の者達総出で行います。通常の王道具ならば技術部のある一定以上の技術を
持つ者ならメインになって調整が出来ます。ただ、ジェゼナの王道具は四肢に施されている上に特殊なので大博士以外には調整不可能です。技術部の者達は、少々大博士の威を借る狐になっていたようですね。