英雄再来 第十一話 ソルディエル25

深く反省せねばなるまい。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

数日前のことを思い出していたアウトマは、ゆっくりと過去の記憶から現在に帰って来た。そして、気持ちを切り替え、ソルディエルの王道具の整備の準備をしようとした時、新たな訪問者がやって来た。

「ちわーっす。」

「エクスか…。」

エクスはアウトマの頬の傷を見て、二マッとした。
「あれ?その傷、アウトマも隊長に叱られたクチっすか?」

「な、何の話だ!?」
アウトマの崩れた表情を見てエクスは的中したことを確信した。

「いやいや、別に隠さなくっていいっすよ。うちの連中も結構怒られたっすから。ソルディエルが魔法使いの子どもを産んだとかなんとかで、特攻隊から外すとか抜かした奴とか、阿呆な発言した奴とかと全員まとめて平手打ちした上に泣きながら説教っすからね。」

俯いたアウトマを横目で見ながらエクスは言葉を繋げた。

「それでも良かったのは特攻隊の誰もの心の根底にソルディエルさんを心配する気持ちがあったことっす。出て来る言葉や態度は色々あっても、話をする中でソルディエルさんのこと気にしてたってことが分かって、そんで皆で話し合って反省して、何が出来るか考えたっす。任務終えた後、皆それぞれにソルディエルさんの見舞いに来たっすよ。」

アウトマは俯いたまま呟いた。
「ワタシには見舞う資格もないがな…。」

「反省しない人はそう言うことは言わないんですよ。」

アウトマが顔を上げた時、エクスは微笑んでいた。

「良かった…。」

「えっ?」

「アタシ、この国が好きっす。隊長がいて、ソルディエルさんがいて、特攻隊の皆がいて、支えてくれる大勢の人達がいて、そしてアウトマがいる。この国に来れて本当に良かった。…なんて、柄にもなく浸っちゃったっすかね。ま、時にはアタシも物思いにふける時もあるっすよ。」

「そうか…。」
アウトマは少し、背負っていた重荷が軽くなったような気がした。

「ところで、エクス。ここに何をしに?君の王道具の整備はこの前終わったばかり…。」

「大博士に呼ばれたっす。」

アウトマがビクッとした瞬間、エクスの後ろから声がした。

「おお、エクス。もう来たのかいの~。」
白衣を着た小柄な老人がにこやかな笑顔でそこにいた。

「も~、大博士は相変わらず気配がないっすよ~。」
エクスも笑顔で大博士と対面した。

「カッカッカッ!痩せっぽちじゃからのぉ。」

「元気そうで何よりっすね。」

「二日前の調整の時に会ったばっかじゃろう。あれ?三日前じゃったかのう?」

「大博士~ボケるのはまだ早いっすよ。それに、アタシらは一期一会になる可能性の方が大きいっすから。」

「おお、エクスは難しい言葉を知っとるのう。」

「特攻隊だからって戦闘訓練ばっかりと思っちゃ駄目っすよ?文武両道ってやつっす。」

にこやかに話すエクスと大博士を見ていて、アウトマはいつも妙な違和感を覚えるのだった。技術の粋が集まるマチネの頭脳と呼んでも差し支えない技術部の長である大博士と、対等に口が聞けるエクス。その関係はまるでお爺さんと孫のよう。ジェゼナですら大博士とここまで馴れ馴れしくは話せない。エクスは大概、誰とでも気さくに話せる人柄ではあるが、大博士のことをよく知っているアウトマからすれば、ここまでにこやかな大博士に違和感を覚えるのだった。昨日まで服装に無頓着だったものが突然、お洒落に目覚めて格好良い服を着てくるような、そんな違和感だった。

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この記事へのコメント

2015年02月22日 22:22
なるほど、技術部だけでなく特攻隊のメンバーも叩かれていたのは、そういうわけでしたか。部隊から外そうと言った人は、ソルディエルを心配してのことなんですね。
現時点、どちらかというと、ソルディエルよりエクスの方が次期隊長に向いている気配ですが、やはり生粋の補佐体質なのでしょう。
そして大博士は、こちらが本性で、厳しい態度は人をまとめる為の仕事モードのような気がします。私も普段と仕事モードで、けっこう変わりますね。
2015年02月23日 20:56
>アッキーさん
特攻隊の方の怪我の理由も判明し、謎解き(?)の方は一旦終了です。謎を引っ張りすぎると、伏線を思い出してもらえないので、種明かしはあんまし遅くならないように気を付けている次第です。心配の形も色々ですが、やっぱり言い方や態度がマズイ場合もありまして…。それと、やっぱり魔法使いに関する根拠のない話を信じてる者も結構いたりします。その辺りの話とかでジェゼナの逆鱗に触れてしまった。というか、仲間であるソルディエルを本人の預かり知らぬところで特攻隊から外す話を進めようとしている感じになっていたので、その辺りも琴線に触れたかも。
経験から言っても年数から言ってもエクスの方がジェゼナの次という点では次期隊長に相応しいかもしれません。しかし、エクスはソルディエルに隊長職を譲ります。そのやり取りももう少し後で書こうと思います。それと、エクスは隊長というより、副隊長などの補佐役でこそ力を発揮出来るタイプかもしれません。
大博士はオン・オフの切り替えが結構激しいかも。というか、家では普段、こんな感じかもしれません。仕事は仕事、私事は私事でやっぱり違うものですね。

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