英雄再来 第十一話 ソルディエル30

マチネが進むべき道とは。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

更に月日は流れた。

マチネはとうとう大陸の中央に巨大な壁を作り上げ、高らかに自国の場所を宣言出来るまでに巨大化した。技術や機械が発展し、戦うための武器や兵器が大量生産出来るようになった。人口が増加し、戦うための兵士をたくさん集めることが出来るようになった。そして、いよいよ大陸各地に存在する魔法使いの国の集合体ジュールズに戦争を仕掛けることが可能にまでなった。
その時に問題になったのは指揮官の数である。いくら軍隊で兵士の数が多くても指揮官が優秀でなければ勝てる戦争も勝てない。そこでマチネは特攻隊を解体し、その者達をそのまま増加するマチネ軍の指揮官にしようという案を出した。戦闘経験豊富な特攻隊の隊員なら指揮官としても優秀だと考えたのだ。
しかし、ジェゼナの目の黒い内は特攻隊の解体など不可能だった。それに特攻隊の隊員は、直接戦闘は得意でも指揮官として優秀かどうかは別問題である。実は以前からマチネの軍隊が増え続ける中で特攻隊の者を指揮官にしようという案はあったが、ジェゼナが向いている者とそうでない者がいること、更には特攻隊を希望する者は直接戦わない指揮官を希望しない者がほとんどだと主張し、それらの案を拒否していた。ただ、ジェゼナも隊員本人が特攻隊から軍隊への転身希望があれば、その意志を尊重して逆に取り計らいをしていた。


そんな中、ジェゼナが突然倒れた。


ジェゼナはすぐに緊急隔離され、絶対安静の名の下に特攻隊員であっても面会謝絶となった。司令塔を欠いた状態の特攻隊は班単位で行動することにして、通常任務を全て一時停止した上で自主訓練を行うことになった。いつジェゼナが戻ってきてもいいように準備だけは怠らなかった。しかし、当然ながら不安は高まり続け、苛立ちが募り、隊員達の間に重い空気が流れて三日が過ぎた。





その日、息を切らせて特攻隊の詰所に転がり込むような勢いで駆け込んできたのは技術部のアウトマだった。
「さ、めたっ!!」
息を切らしながら、咳き込みながらもアウトマは叫んだ。特攻隊の面々は何事かと思い、アウトマを見た。

「目、覚ました!ジェゼナさん、がっ!!」

一瞬、アウトマが何を言っているのか計りかねていた特攻隊の隊員達だったが、それが特攻隊隊長のジェゼナの復活を知らせる一声だと理解出来た。その瞬間、全員に喜びが沸き起こった。歓声が沸き起こった。この三日間で溜まった不安も鬱屈も全てを吹き飛ばす出来事だった。

「技術部のところにジェゼナさんはいる、から、会いに行って欲しいっ。特攻隊、全員で…。」

未だに息を切らしているアウトマがそう言うが早いか、特攻隊の隊員達は我先にと技術部へと向かった。その場にいなかった特攻隊の人々にもすぐに連絡が届き、全員がジェゼナの元へと向かった。

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この記事へのコメント

2015年04月01日 23:37
いよいよジェゼナが前線から退いた理由が明かされていく・・・?
アウトマの様子は、ジェゼナが復活したというだけではなさそうに見えます。

山田「うーむ、確かにジェゼナは慕われているから、全員でというのは腑に落ちる話ではあるが・・・わざわざ全員を強調したのは?」
八武「にゃるほど、本来なら言うまでもないことか。重大な話が待っていると見た。」
維澄「指揮官か。このときに精神的な継承が上手くいかなかったのかな。」
佐久間「というよりは、以前からあった問題が表面化していくと見るべきだろうな。マチネ全体からすれば、特攻隊、いや、軍隊さえも一部でしかない。首脳でジェゼナとG以外は、どれほどの器量なのか。」
神邪「寄せ集めでしかない部分が多いということですか。」
佐久間「多いどころじゃないだろうな。技術部もGがいなければ崩壊していただろう。ジェゼナと決裂したら、長くなかったはずだ。」
2015年04月02日 03:10
ゴリーレッド「組織の難しさは、人が増えれば皆を指導できる指揮官や幹部も増やさなくては烏合の衆になってしまう」
火剣「人事は組織の生命線だからな。人事で勝たないと戦にも負ける」
ゴリーレッド「変な指揮官を置いたら総崩れだ」
コング「ジェゼナはもしかして・・・」
火剣「うーん、全員で会いに来いということは、まさか」
コング「身体検査か?」
ゴリーレッド「延髄斬りを食らいたいと?」
コング「NO!」
火剣「不穏な空気を感じる」
ゴリーレッド「言葉に出すのもはばかれる」
コング「いよいよ別れの時か?」
ゴリーレッド「待ちなさい」
コング「待ちねえ、マチネー」
火剣「もともとジェゼナと合わないと思っていた連中も動き出すか」

2015年04月03日 16:34
>アッキーさん
両手両足を失っても戦う方法がないかを思案していたジェゼナが前線から退くという、その理由は如何なるものだったのか。どうして現在の地位に就いたのか、その辺りがようやく明かされます。アウトマが全員を強調した理由、それは特攻隊全員に話をしなければならない事柄があるということ。ジェゼナからどのような言葉が飛び出すのか。
急速に人数が増えたマチネにとって指揮官不足は大きな問題でした。そして、精神的な継承はマチネ全体で共有されているとは限りません。あくまでもジェゼナの周囲の者達や一部の者達にしか浸透しなかったのかもしれません。
首脳グループには大博士ぐらいの年齢の者達が多数集まった長老会なるものが存在します。ここで話し合われたことがマチネ全体の方向性を決めていきます。
技術部は大博士がいなければ現在のような技術水準の高さに達したかどうかは分からないし、ことによるとよからぬ方向に暴走したかもしれません。
さて、これから先、マチネはどうなるのか。
2015年04月03日 16:40
>火剣獣三郎さん
人が増えた時の難しさは色々あるでしょうが、やはり意思疎通が難しくなることで諸問題が起こってくることでしょう。少数ならすぐに解決して問題にすらならないことが大人数になると見えなくなり気が付けば大きな問題に発展している可能性がある。
ジェゼナもそれを避けるために特攻隊の中に班を編成して指導者としての立場の者を増やしていました。そうした人事が上手くいけば問題ないけれども、もし人数が多いことで忙しさのために間違って変な指揮官を置いてしまえば大変なことになる。
さて、一度倒れて目を覚ましたジェゼナですが、全員で来るようにという指示があるということは…。不穏な空気が感じられる場面。ジェゼナはどうなるのか。
そして、マチネも一枚岩ではありません。ジェゼナのことを快く思っていない者やその精神性についていけない者達が動き出す?さてさて、どうなるのか。

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