英雄再来 第十一話 ソルディエル31

新しい時代が来る。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

技術部の奥にある手術室も兼ねた実験室兼病室にジェゼナはいた。技術部の中でも特に設備の充実した場所で、大きな部屋だったが、その場にはジェゼナと大博士しかいなかった。ジェゼナは大きな寝台にいて、上半身だけ起こしていた。その目線は少し伏せて、下を向いていた。

「ジェー。もうすぐ特攻隊の者達が来るじゃろう。真実は言わずともよい。全て言わずともよい。残り僅かな時間じゃ。好きに使えばよい。後のことはワシが何とでもする。」

『ありがとう、ジィ。…でもボクの口から話すよ。全てね。』

「そうか。」

その時、ドタドタとたくさんの足音が聞こえてきた。

「隊長!」
「ジェゼナ隊長!!」
叫ぶように声を上げ、転がり込むように病室へと特攻隊員達が雪崩込んできた。

『やあ、皆。』
その特攻隊員達をジェゼナは笑顔で出迎えた。
『ただいま。』

皆は歓喜の声を上げ、ジェゼナの周りに集まって喜んだ。表情で、体の動きで、涙で、言葉で、誰もがジェゼナの復活を喜んでいた。
「隊長!お帰りなさい!」
「もう大丈夫なんですか?隊にはいつ復帰出来ます?」
「もう無理は禁物ですよ。」
「隊長がいないとやっぱり駄目だな。」
「これで百人力、いや千人力だ!」
「隊長、新しい特攻隊員も一人増えました。ご指導の方をまたお願いします。ただ、無理はしませんように。」
口々に話をする隊員達にジェゼナは耳を傾けていた。一方、大博士は空気を読むように部屋からいなくなっていた。


特攻隊員の全員が集まって、ひとしきり話が終わったところでジェゼナは神妙な顔で周りにいる皆を見回した。

『今日はボクの目覚めの他に絶対に伝えないといけないことがあるんだ。だから皆に来てもらった。』

「それは、一体…?」

『ボクの寿命について。そして、これから先のことについて、だよ。』

その一言で特攻隊全員が騒然となった。

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この記事へのコメント

2015年04月03日 23:15
寿命・・・! 現在でも生きてはいますが、確かに人間としての生は失っている状態ではあるんですね。
そうでなくても、いずれ訪れる事態。今後について話し合っておかなければならない。

八武「寿命だけでなく、いつ死ぬかわからないからねぃ。もしものときの手はずは、ミガロスと竜太郎に伝えてある。」
山田「俺は気楽なもんだな。天涯孤独の身だ。」
佐久間「私がいるじゃない。」
山田「いや、俺がいなくなっても後のことに迷うお前でもあるまい。」
維澄「ジェゼナあってのマチネ戦闘部隊。しかしジェゼナ抜きでもやっていけるようにしなければならないか。」
神邪「母さんも、自分がいなくても機能するシステム作りを目指していました。」
2015年04月04日 18:31
>アッキーさん
今まで精力的に活動していたジェゼナですが、ついに戦えないところまで限界が来てしまった。倒れたのも単なる疲労困憊ではなかったのです。王道具がなければ今日まで生きてこれたかは分かりませんが、王道具が体を蝕んだ方面も無視は出来ない。未だに王道具は謎の多い技術です。
人間はいつか死ぬ。死んだ後のこともいずれどこかで考えなければならない。十人いれば十人が、死んだ後についてのことは違ってくる訳ですが、残すにしろ託すにしろ後のことを誰かに頼まなければならないことは多いでしょう。
特攻隊もジェゼナが入隊する前から存在していたし、ジェゼナ抜きでもやっていかなければならい時期が当然ながら巡ってくる。さて、どうなるのか。

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