英雄再来 第十二話 大博士1

魔法使いとの全面戦争を開始する。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

ジェゼナが眠りに就いた後、大博士は彼女のための玉座を用意した。マチネの中心に設置された巨大な装置。その真ん中に金属のように重くなったジェゼナを座らせ、そこからマチネ中に動力を送れるように電線を張り巡らした。それはマチネに巨大な心臓が出来たも同然だった。

その巨大で強力な心臓によってマチネの発展は更に急速なものになっていった。武器や兵器の製造に留まらず、あらゆる分野において動力の残量を気にする必要がなくなったことは非常に大きかった。今までの燃料不足を解消し、出来なかった実験や作れなかった武器が作れるようになった。軍隊は更に増強され、機械産業は更に加速し、ついにマチネの意思決定機関である長老会はジュールズへの全面戦争に踏み切った。


「諸君、古き悪しき伝統を廃し、新しい時代を始める時が来た!」
「諸君、魔法という幻想にしがみついていては人間は進化を止めてしまう!」
「諸君、世界に魔法は必要ない!」
「諸君、これより聖戦を始める!全てを救うための聖戦だ!」
「諸君、我々は無知文盲の者共に示さなければならない!この世界を統べるのは機械であると!」
「諸君、戦え!」
「戦え!戦え!戦え!我々の勝利は既に約束されている!機械によって約束されているのだ!」
「機械こそが我らの神!我々は神によって勝利を約束されている!」


第一回目の戦争は土の国に攻め込んだ。魔法使いの駆逐と共に金属資源の多い土の国の領土を得ることで一気に他のジュールズの国を制圧出来ると考えた。しかし、いち早くそれを察知した炎の国と雷の国の魔法使いがマチネに攻め込んできてマチネは土の国への攻撃を中止し、マチネ本国へと帰還した。

第二回目の戦争は前回の戦争の反省から先に炎の国と雷の国を先に潰そうと二方向に分けて侵攻を開始した。それに対し、ジュールズは風の国、水の国、土の国の魔法使いがマチネに攻め込んだ。マチネ軍は再び侵攻を中止し、引き上げを余儀なくされた。

その後、何度も戦争を仕掛けたが、いずれに攻め込んでもすぐにどこかの国の魔法使い達がマチネ本国に攻め込んできて、引き上げざるを得なかった。長老会は歯痒い思いをしていた。

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この記事へのコメント

2015年04月05日 21:49
ゴリーレッド「三国志でも似たような場面がある」
コング「煮た?」
火剣「他国に書状を出し、背後を突いてもらったり、いろいろある」
コング「♪あーぶくたったー、煮えたったー」
ゴリーレッド「帰るべき城が取られたら一大事だから戦争を中止して急いで本国へ帰る」
コング「♪煮えたかどーだか食べてみよう、ムシャm」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「待てえええ!」
火剣「何か、思考停止というか、戦以外はないと決めたら猪突猛進なのが気になる」
ゴリーレッド「機械が神というのも強引過ぎる。戦の大義名分を用意したいあまり不自然な理由を持ち出してはいないか」
コング「玉座と言えばムスカだ」
ゴリーレッド「龍の巣に放り込もうか?」
コング「待ちねえ、マチネー」
2015年04月05日 22:08
エネルギー問題が殆ど解決しているというのは、社会の発展にとって大きいですね。
「ドリフターズ」における黒王(食料を無尽蔵に増やせる)と同じく、敵にとっては悪夢でしかない力でしょう。ジュールズもマチネの攻撃に対して必死になっているのが感じ取れます。
夢のような力も、それが向かう先が戦争では、ロマンも何もあったものではないですね・・・。しかし恨みを忘れろと言うことは出来ない。

山田「だが、怨みを向ける矛先が違う。」
佐久間「あの魔法使いか。」
山田「歴史を俯瞰できないことこそ歯痒い。過去を見通せる魔法があればなぁ。」
2015年04月05日 22:48
>火剣獣三郎さん
戦争を仕掛けた場合、勝てば相手の国をぶんどれる。しかし、その過程で自分の国を失ってしまえば一大事。マチネの場合は魔法使いの殲滅が目的ですが、それでも自国を失うかもしれないとなれば一大事であることは変わりません。結局の話、五方向全てに対策を立てないとジュールズは必ず背後を突く。マチネからジュールズの本拠地まではそれなりに距離があるし、大人数で動けば必ずジュールズに発見される。これよりマチネとジュールズの戦争は一種の膠着状態に突入します。
ジェゼナがいなくなり、実質的に長老会が全権を握る形になりました。何せ、現在生き残っている中では最年長の者達ばかりで構成されている会なので。思考停止の感じも否めません。魔法使いを殲滅するために蓄えた力、それ以外の使い道を考えなかった力。平和利用も何もなく、敵を叩き潰すための力。
そのために長老会はいくつもの大義名分を用意しました。機械が神である、というのも、ジェゼナが言った「マチネのための神はいない」ということに対する一種の答え。神を我々が創り出したのだから恐れる必要はない、といった感じ。他にも技術部の考え方に対しての大義名分や血気盛んな者に対しての大義名分、平和を希求するする者への大義名分も用意しています。
2015年04月05日 22:58
>アッキーさん
産業革命やエネルギー資源の活用が人間にもたらした影響は計り知れません。石炭や石油などでエネルギーが大量に得られるようになって生活は一変、急速に発展しました。使い方では平和利用も十分に出来る『侵食統一』ですが、本当に使い方次第。これ自体は巨大なエネルギー生成装置としての機能しかなく、他のものがないと役には立ちません。機械もない大昔なら全く魔法使いの脅威にならなかった王道具でしょう。
ジュールズもマチネの攻撃には必死で抵抗しています。要するに他の国からの応援がなければ敗北もしくは大被害は免れない。それほどにマチネの武器や兵器が量も質も高まってきています。
全ては例の魔法使いから始まった。しかし、その矛先が客観的には別の場所へ向かっている。マチネとしては当然の怒りを当然の場所へと向けているという気持ち。それだけに一層歯痒いところです。ジュールズも真実を把握出来ていないので、ただ身を守るために応戦しているに過ぎないのです。

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