英雄再来 第十三話 魔王10

所詮は魔法使いか。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

『アア…。』
ここで大魔法使いの体勢が整った。先程の苦しんでいた様子がなくなり、黒いヘドロのような鎧が再生し、顔を覆った。
『カーコー…。カヒャー、コヒョー…。ガヒャヒョー…?』
大魔法使いの言葉は隙間風のようなかすれ声だった。風の国での戦いでペリドットは撃ち落とされる時、光子力放射が喉を貫通していたのだ。本来なら音を発することも難しい状態であった。

「!?」
「!!」
「!!」
三人は大魔法使いを警戒し、更に神経を尖らせた。奇っ怪な言葉は魔法か、それとも何かの呪文か。

『カシャハシャハシャー…。ハー…。』
大魔法使いの言葉は次第次第に強くなり、最後には鬼気迫る叫び声になっていた。
『ガギャギャギャ!ガギャ…!ギャガギャギャアアアアァァァァ!!』

だが特務隊の三人には大魔法使いが何を言っているのか理解出来なかった。そもそも人の言葉を話しているとさえ思えなかった。大魔法使いの叫びに特務隊の三人は顔をしかめ、ますます警戒を強めた。
「こいつ…!何を言ってやがんだ…!?」
オウは憎悪と微かに困惑の表情を見せた。

「聞くな!呪いの言葉だ!」
ユウはその叫び声を敵の攻撃と断じた。

「魔法使い…!ここまで壊れた奴は初めて見ます…!」
ティイは化け物を見るような目で大魔法使いを睨んだ。

大魔法使いの目に映った三人の表情は憎悪だった。そして、嫌悪だった。異常なものを見る目付きだった。大魔法使いは、全身から何かが抜けるのを感じた。そして、その代わりに怒りの感情だけが沸き起こっていた。
『ハギャー…!シャハギャ!ガギャハハギャ!!ギャハーギャ!!グガガガゲエエエエェェェェ!!』
大魔法使いの体を覆う黒いヘドロのような鎧が変化して、両手に鋭い爪が加わった。


大魔法使いが襲いかかってきた!

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

驚いた

この記事へのコメント

2015年05月15日 23:23
まんま言葉が伝わってなかったのか!
これは耳を貸さない3人を責められない・・・。

佐久間「てっきり魔法で声を補助していると思ってたんだが。」
山田「全ての魔法力を戦闘に回しているからか。」
佐久間「それはそうか・・。風の精霊だし、空気を振動させて声を作るのはピッタリだと思っていたが、確かにそうだ。」
山田「佐久間は無駄なことが好きだからな。しかしそれは、どっちかというとオネの方だ。余裕が無ければ、そこへ力を使わない。」
2015年05月17日 13:48
コング「賢吾はベリドットのことをベリベットと。ベッドのことしか頭にないからそういうミスを犯す」
賢吾「・・・」
ゴリーレッド「コングに言われたら終わりだ」
コング「ミスを犯すといってもreipuのことじゃないぞ」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
賢吾「魔法使いの目線では、人間が自分たちの住処も命も道具も何もかも奪い尽くしたっちゅうことになるわけやな」
ゴリーレッド「やはり村人ともののけの関係に似ている」
コング「♪そなたのよこーがおー」
賢吾「エンドレスな戦になりつつあるような」
コング「立て! 立て! 立つんだゼロー!」
ゴリーレッド「うるさい」
コング「ゼロよ、ワシのゼロよー」
賢吾「似てない」
ゴリーレッド「魔法使いは追い詰められているようにも見えるが、判断が難しいところだ」
賢吾「罠の呪いの言葉か、壊れかけてるのか、判断できんな」
コング「大事なことは一人を生け捕り、mataに爪を当てて、降伏しろ。さもないと容赦なく切り裂くぞー」
ゴリーレッド「やはり魔法使いを応援しているのか」
賢吾「ヒロピンを応援してるんやろ」
コング「僕は太陽。平等に光を降り注ぐ。雑草もひまわりも昆虫も害虫も人間も魔法使いも区別なんかしない」
2015年05月18日 17:45
>アッキーさん
ペリドットは自分が普通に言葉を発していると思っていますし、彼自身の耳にはまともに聞こえています。しかし、実際には単なる風が通り抜けるがごとくのかすれた声とも言えない声。ガーネットとヴィーセが会話出来ていたように言語は共通しているのですが。もし、言葉が通じていればまだ違う未来も有り得たか…?
もし、ペリドット自身が自分の声の異常さに気が付いていれば、かつて「英雄の子孫」のディルティが使った風吹蝶のように風魔法で言葉を直接響かせていたでしょう。しかし、今のペリドットが考えていることはマチネの人間を皆殺しにしてジュールズの魔法使いの仇を討つこと。それ以外のことは頭にないと思われます。
2015年05月18日 17:45
>コングさん
カタカナの名前って案外間違えやすいですよね。私も何かのオリジナルのカタカナ名前を間違えて読んでいた記憶があります。濁音と半濁音も間違えちゃうことも。まあ、それはそれで気が付いた時に直すことにしてます。
立場が違えば考え方も見ている方向も全く違う。同じ立場であれば共存も十分可能だったのではないかと思います。しかし、アシタカのような架け橋になれる存在がいなければ対立はどちらかが全滅するまで続く。それこそ永遠に近いぐらいずっと…。果たして立ち上がったゼロは両者の架け橋となって争いを止められるのか。
魔法使いの方も余裕はあまりありません。何せ、生き残っている大魔法使いは…。ペリドットが敗れればジュールズで戦える者はいなくなる…?
生け捕りは実力の差がないと中々難しいみたいですね。それとペリドットに生け捕りの意志はなさそう。魔法使いはマチネの人間なら区別なく殺すつもり。この戦いはどうなるのか。

この記事へのトラックバック