英雄再来 第十四話 エクス2

全力で『勝利』を掴もう。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

エクスの手のひらから放たれた光子力放射は真っ直ぐに空中のペリドットに向かい、ペリドットの周囲にある風の結界にぶつかった。風の結界を貫くことはなかったが、結界はすぐに光子力放射によって溶け出した。

『っ!!』

おそらくは数秒で貫通するであろう早さで結界が溶解していく。ペリドットは風の結界を解除してこの場から離れなければ光子力放射を食らってしまう。しかし、その解除する一瞬の隙は確実に命取りになることをペリドットは瞬間的に理解していた。

その時、どこからともなく風が集まって風精霊(シルフィード)が現れた。
『キャハ!』
風精霊(シルフィード)は力を込めて光子力放射に攻撃して弾いて軌道をずらした。その隙にペリドットはその場から脱出することが出来た。そのままペリドットは光子力放射に狙われないようにジグザクに飛行して距離を取った。

『アー、ウー。』
風精霊(シルフィード)はペロリと舌を出して、エクスを見下ろしながら笑った。だが次の瞬間、風精霊(シルフィード)は大量に飛んでくる砲撃を見て驚いた。エクスの両手から砲弾が矢継ぎ早に飛び出して、空中が砲弾の嵐となり、風精霊(シルフィード)は爆発に巻き込まれた。

(『何だ…!?これは…!?』)
砲弾の嵐は距離を取ったペリドットであっても無関係ではなかった。ジグザグに飛行すればその分だけ直線を行くよりも遠くに行けない。かと言って直線で飛行すれば光子力放射が飛んでくる。
『くっ!!』
魔法で砲撃に対応しようとすると一瞬、空中で止まることになる。その隙をエクスは見逃さない。魔法を使う前に光子力放射が飛んでくる。ペリドットはとにかく空中で回避行動を取り続けなければならなかった。砲弾が雨あられと飛んできて空中は爆音と爆煙に包まれ、時たま光子力放射の光が通り抜ける。

(『奴の王道具の能力は物質の空間転送で間違いない!マチネの武器庫から弾薬をありったけ投入しているのか…!最強の剣と言われるだけのことはある…!だが…!』)

ペリドットは何発目かの光子力放射が飛び交った後、一気に加速して地面に向かった。そして、地面スレスレを飛んでエクスに向かって突撃した。
(『何度も見ていれば光子力放射にも弱点があることが分かる!一発撃った後、すぐに二発目は撃てないのだ!当然だ、あれだけ強力な攻撃なら溜めに時間が掛かる!その溜めの時間を砲撃の雨で稼いでいるのだ…!砲撃は山なりの軌道を描くため空中にいる敵を攻撃するのには向いているが地面ギリギリを高速移動する相手には当てられない!今のワタシに通じるのは光子力放射のみ!当然撃ってくるだろう!しかし、来ると分かっているなら避けられる!手のひらをこちらに向ける瞬間に高速で移動してかく乱してやる!狙いが定まらない内にワタシの爪が貴様に届いて終わりだ!』)

ペリドットはエクスに高速で向かう。しかし、エクスは砲撃を放ち続けてペリドットに向かって手をかざさない。その代わり、ポツリと呟いた。

「そこ、爆発するよ。」

瞬間、ペリドットの真下の地面が爆発した。それを引き金に周囲の地面が次々と爆発して大爆発へと発展した。そして、そこに山なりに飛んでいた多数の砲撃が降り注いで、更なる爆発がペリドットを襲った。


エクスが自分の王道具『神すら操る人の糸(ゼウス・エクス・マチネ)』から出せるのは光子力放射と砲撃だけではない。砲撃中の爆煙に紛れて周囲に遠隔操作で爆発させられる爆弾をばら撒いていたのだ。そもそも、最初のペリドットの砂嵐と風の刃の攻撃も、人ひとりが入れるぐらいの大きな平べったいお椀の形をした鋼鉄の盾を出して亀のように地面に伏せる形でしのいでいたのだ。

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この記事へのコメント

2015年06月22日 08:03
アポーツ強い!
戦は準備段階で9割が決まるといいますが、なるほど、それでマチネの名を冠しているわけですか・・・。
「みんなの力がアタシに注がれる!」を地で行くような強さ。このまま勝てるか・・・?

八武「キューティーハニーのようだねぃ。」
佐久間「アポーツならプティングじゃね?」
山田「多分フレンダも。」
維澄「須藤要は別系統っぽいね。いっとう有名なのはドラえもん。」
八武「ドラえもんも別系統な気がするが。」
神邪「これって生物は移動できないんでしょうか。ハーメルンでは軍団アポーツが人間側の切り札でしたけど。」
佐久間「それが出来るなら、仲間を逃がした意味も違ってくるな。」
山田「単純に逃がしたわけではなく、奇襲を狙っているのか。」
維澄「なるほど、そう考えると腑に落ちるね。」
八武「ふむう。」
維澄「迂闊にマチネを応援したくはないが、エクスは応援したい。」
2015年06月22日 17:12
火剣「ベリドットが今までしてきたことの逆をやられている」
コング「ギャグ?」
ゴリーレッド「ギャグではない」
火剣「魔法で炎の雨を降らせ、人々が血まみれで泣きながら逃げていくのを笑いながら見ていた」
コング「ブーメラン現象か?」
ゴリーレッド「今まさにエクスによって、同じ恐怖を味わっている」
コング「エクスがこんなに強いとは、ソルディエルとじゃれあっている時には見えなかった」
火剣「じゃれあってはいない」
ゴリーレッド「ゼウス・エクス・マチネ」
コング「♪この頃流行りの女の子! お尻の大きい女の子!」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「待てえええ!」
火剣「ベリドットは逃げるか、戦うか」
2015年06月28日 00:52
>アッキーさん
マチネの国力が上がれば上がるほどエクスの持つ王道具『ゼウス・エクス・マチネ』が強力になる仕様になっています。エクスの王道具はマチネの武器庫そのものと言っても過言ではないかもしれませんね。市街地戦ではソルディエルもいたのでここまで思い切って爆撃出来ませんでしたが、こちらは平地になっているし、班長達は遠くに避難。マチネの力の全てを持ってこのまま主人公のキューティーハニーのようにペリドットに勝てるか。
エクスの王道具の能力はドラえもんが一番近いと思われます。出せる武器は無尽蔵ではなく、予めしまってある分のみ。ただし、ソルディエルと共にオネと戦っていた時に砲撃戦なら三日三晩は持つと言っているように、それぐらいの量はしまってあります。無制限で無尽蔵のように見えて、案外制限も少なくありません。生物に関する事柄も制限の一つです。
班長達が戦えるまでに回復するのが先か、それとも…。
2015年06月28日 00:53
>火剣獣三郎さん
実はペリドットは炎の魔法を使えません。使えるのはほぼ風の魔法ばかりです。そのことを知っていればエクスの村を襲った魔法使いとペリドットが別人であることはすぐに分かるのですが、エクスはそんなことは知りません。しかも、今の黒いペリドットの姿はかつてエクスの村を襲った魔法使いと姿が似ています。
エクスからすればあの日の恐怖をそっくりそのまま返したいところでしょう。直接的ではなくとも、ペリドットはマチネの住民や特務隊の隊員達を殺した相手。お門違いという訳でもない。人を殺めたペリドットに返ってきたのは、砲撃の嵐。逃げるにしろ戦うにしろ全力でやらないとエクスから逃げることも、エクスに勝つことも難しい。
エクスは実はこんなにも強かったのです。副隊長が隊長のソルディエルよりも強いというのは、隊をまとめる時に足を引っ張る要因になるかもしれないと、エクスは半ばじゃれあったり、おどけたりしているところがあるかもしれません。

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