英雄再来 第十七話 アウトマ3

面白いことをしてくれる。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

迫るオネに対してアウトマは動かなかった。いや、動けなかった。アウトマの身体能力は常人の老人並み。特に体を鍛えていた訳ではないし、戦闘経験がある訳でもない。オネの素早さにはついていけない。

だが、オネの攻撃はアウトマには当たらなかった。
「あ?」
それどころかオネはアウトマの姿を見失った。
(どこに…?)

次の瞬間、オネの背後から銃声が響く。オネは至近距離から後頭部に銃弾を受けた。
「あん?」
だが、その銃弾はオネを貫通した。銃弾が当たった場所は炎に変わっていた。オネが後ろを振り向きながら攻撃した時にはアウトマはその攻撃の届く範囲よりも数歩離れた場所に立っていた。

「ふん。拳銃は効かんか。」
持っていた拳銃をアウトマが放り投げた瞬間、オネは再びアウトマに飛びかかった。だが、今度も攻撃が当たる瞬間、アウトマが消えた。

「ほれ。」
今度も背後からだ。オネはすぐに反転した時には、アウトマが放り投げていた手榴弾が爆発した。

「なんだ、この煙ったいのは…。」
オネにはなんら傷付いた様子はなかった。

「ふん、手榴弾も効かんか。」

「なるほど…。」
一方のオネは笑みを浮かべていた。先程とは違い、オネはすぐに動かなかった。その代わり周囲を舐め回すように見回した。瞬間、オネの瞳が真っ白になっていた。

「っ!!!」
アウトマは以前、黒い台座に侵入した白い瞳の魔法使いのことを思い出した。体型的には別人だが、裸と白い瞳は共通していた。

瞳の色が元に戻ると同時にオネは再び攻撃を仕掛けて来た。
「炎(ブラーゼ)。」
オネは右手に作り出した炎をアウトマに投げ付けた。飛び出した巨大な炎はアウトマとその周囲を焼き尽くす。しかし、瞬間、オネの背後から巨大な斧が飛んで来た。

「おう、待ってたぞ。」
オネは振り返らずに斧を片手で受け止めた。斧はオネの熱であっと言う間に溶けた。
「背後から来るのはもう分かった。後は、どこから武器や兵器を持って来てるかだが――――――。」
オネはギョロリと背後を睨んだ。

斧が飛んできた先には炎に飲まれたはずのアウトマが立っていて、隣には人型の巨大な鉄の兵器があった。
「マチネの新兵器、自動操縦型ロボトじゃ。どこから来たかは想像にお任せするがのう。」
アウトマがそう言うとロボトは動き出してオネに襲いかかった。

(さっきの斧はこいつが投げたのか。力はそこそこありそうなデカ物だな。)
「炎(ブラーゼ)!」
オネは少し力を込めて大きめの炎(ブラーゼ)を放った。その熱量はロボトを溶かし、行動不能にするには十分だった。



本来なら。



ロボトは溶けずに拳で炎をかき消した。
「あ?」

「ロボトにそんなものは効かん。」

ロボトの巨大な鉄拳がオネにぶつかる。まともに喰らえば大木をへし折り、大岩を砕く強力な攻撃。しかし、オネを後方にズラせても、吹き飛ばすことは出来なかった。オネの両手で押さえられたロボトの拳は熱で溶けて崩れた。
「ここに来た時は人間ほどだった私の体温は今の戦いで相応の温度まで上がっている。鉄人形如きがどうにか出来る温度じゃない。」
次の瞬間、ロボトの口から光子力放射が放たれた。それは小型化されているとはいえ元は風の大魔法使いペリドットを撃ち落とした代物である。
「ぐっ!」
オネはそれを受けたが、すぐに反撃してロボトの頭を蹴り落とした。
「ふうん、やるじゃん。」


「よかった…。」
アウトマはフッと笑った。

「あん?」
オネは少し眉毛を釣り上げた。

「どうやらこの攻撃は有効のようじゃの。」

ガシャン!

オネは周りを見回して驚いた。いつの間にか大量の光子力放射台が用意され、全てがオネを狙っていた。

「撃てえ!!」

「ひゃは!」
オネは歓喜に満ちた顔で走り出した。次々と放たれる光子力放射の雨をかわしながら放射台を一つずつ溶かして回った。

『ひゃははははは!!楽しい!楽しいぞ!アウトマあ!準備がいいなあ!!これだけ用意するのは骨が折れただろう!これはこちらも次の手を出さなければなるまい!!』
オネの体が白熱して輝きを増す。それは、ソルディエルと空中戦を繰り広げた時やアールとの戦いでの姿に近かった。
『灼熱の炎よ!闇の爆炎よ!精霊すら喰らう真の炎よ!その姿をもって、眼前の敵を破壊せよ!炎大神霊(ジャグルドーマ)!!』

(かかった!!)
アウトマはその瞬間、勝利を確信した。


オネは魔法を発動させた。それは間違いなかった。だが、その魔法で呼び出された炎大神霊(ジャグルドーマ)は余りにも小さかった。
「なっ…!?」

「放てえええええええ!!!!」

ガシャン!!!


オネはその瞬間を瞳に捉えていた。何もない空間、何もない場所に突如として光子力放射台が出てくるのを。

(…なるほど、これが王道具『表裏皆無(クライ・クライン)』の能力か。)

全ての光子力放射がオネを襲う。その数は百本以上の光の砲撃。炎大神霊(ジャグルドーマ)はかき消され、オネも光の攻撃に焼かれ、飲み込まれた。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

驚いた

この記事へのコメント

2015年08月11日 22:28
オネが圧倒しているように見えるのに、この得体の知れなさは何だろう・・・! ワクワクしてきます。
もしかしてオネは、サイズが縮小されている?

八武「手乗りオネちゃん!?」
佐久間「そこに反応するのか。」
山田「しかし縮小だとすれば、状況にも説明つくし、名前にも関連性がある。」
神邪「ミニサイズのものなら、大して資材を使わずに作れるというわけですか。」
維澄「逆に大きくすることも可能かもしれないね。」
神邪「それとも、魔法を使ったときに『かかった!』ということは、相手の魔法を吸収してエネルギーに変えるという・・・?」
佐久間「いずれにしても、オネに見抜かれてしまったか。」
山田「見抜いても、対処できるかどうかは別物だ。」
神邪「それでもオネさんなら・・・オネさんなら、何とかしてくれる!」
山田「オネを応援してるのか?」
八武「私はアウトマを応援しよう。フラスコの中の小人オネちゃん・・・ハァハァ」
山田「縮小とは限らないぞ。」
八武「そう言わずに。ちいさくなれ。」
山田「カメックスの脅しかっ!」
2015年08月11日 23:46
コング「老人はアウトマか」
火剣「タイトルで気づくべきだった」
ゴリーレッド「好敵手に喜ぶオネは根っからのウォリアーだな」
コング「この世の中は狂ってるか」
火剣「オネを見れば親玉であり、元凶と思うだろう」
コング「悪魔の魔法使い、略して悪魔法使い」
ゴリーレッド「いい魔法使いと悪い魔法使いがいる。それは人間も同じだが」
コング「そうか、ゼロはあん時白い目だったか。そして裸。スッポンポン。一糸まとわぬ姿。生まれたままの姿。マッパ。z」
ゴリーレッド「うるさい!」
火剣「拳銃も手榴弾も斧も効かないか」
コング「ロボトは強いぞ」
ゴリーレッド「オネはどうなった」
コング「オネは不死身だ」
2015年08月12日 09:06
>アッキーさん
王道具『表裏皆無(クライ・クライン)』の能力を色々と予想して頂いているようで、嬉しいです。オネが押していますが、どこかアウトマの手のひらの上で踊っているような感覚。果たしてオネのサイズは縮小されているのか。
そういえばドラえもんの道具でガリバートンネルなるものがありましたね。そこを通ると小さくなったり大きくなったり。不思議の国のアリスでも大きくなる話があったかな?(うろ覚え)
小さくする能力があれば炎大神霊を小さくすることは可能だし、光子力放射のミニ版を用意することも出来そうですね。また、オネが隙の大きい強力な魔法を使った時に仕掛けたことに意味があるかもしれません。
何もない空間に突如として現れた光子力放射に対して、オネが出した結論は如何なるものか。アッキーさん陣営もオネ派とアウトマ派に分かれたか?果たして、勝つのはどちらか。そして、王道具『表裏皆無(クライ・クライン)』の能力とは。
2015年08月12日 09:06
>火剣獣三郎さん
という訳で謎の老人の正体はアウトマでした。話がこっそり第十七話に移行しております。相手が老人だろうが自分と本気で向き合い戦ってくれるならなんでもいい。戦いこそが人生だと言いそうな勢いのオネ。ウォーリアーであり、バーサーカーですね。
マチネに来てからのオネの所業を見れば、アウトマがそう考えるのも当然かと思われます。実際、オネは大分と殺していますので、仇討ちという側面では間違ってはいません。しかし、仮にオネを倒せても世界に平和が戻る保証はどこにもありません。
いい魔法使いと悪い魔法使いがいるというのは、いい人間と悪い人間がいるのと同じ。でも、大昔の魔法使い達がオネ達を封印するために普通の人間達と住む場所を決別してしまった。そのために魔法使いという存在が遠くなり、長い年月の末に妖精や魔物の類のような存在になってしまいました。魔法という未知なる脅威に対し、普通の人々は潜在的に恐怖を感じていたのかもしれません。結局、そのことが根底にあり、かつ襲撃を受けたことで『魔法使い』=『悪』という一括りでしか考えられなくなってしまった。もし、魔法使いの存在がもっと身近で、人間であるという認識があれば、違う未来があったのかもしれません。
さて、銃も爆弾も斧も効かない。ロボトも溶かされて、頼みの綱はマチネの新兵器の光子力放射。この一斉射撃でオネは死んだのか。それとも生きているのか。結果は…。

この記事へのトラックバック