英雄再来 第十八話 再会3

再会は突然に。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

「水(ワーテル)!」
突然飛んできた炎の塊に対してツヲは躊躇することなく前に飛び出し、水の塊をぶつけて相殺する。炎(ブラーぜ)は消えたが、水(ワーテル)も一気に水蒸気になった。

「毒(ポイソン)!」
ツヲが水の塊を放ったすぐ後に、飛鳥花も声のした方に向かって毒の塊を発射する。

「炎(ブラーゼ)!」
ところが飛鳥花の放った毒の塊は二発目の巨大な炎にかき消された。消えなかった炎はそのまま真っ直ぐに飛んでくる。

「っち!」
飛鳥花はそれを交わしたが、その炎の影から外套を着た何者かが飛び出した。
(しまった!)
鋭い手刀を構えて、その者は正確に飛鳥花の首を狙っていた。

「させない!」
その手刀をツヲは両手で掴んで地面に叩き付ける形で止めた。

瞬間、飛鳥花の周囲には蛇の形をした毒精霊が現れていた。
「溶かせ!毒精霊(ゲブロボミス)!」
毒精霊(ゲブロボミス)はツヲが押さえている者のみを狙って噛み付きにかかった。

「噛み砕け、炎精霊(アフレエテ)!」
だが、突如として地面から吹き出した炎が蜥蜴の形となって毒精霊(ゲブロボミス)を噛み砕いた。

「こいつっ…!」


「止めてくれないか!」
ツヲは捕まえた者に向かって叫んだ。
「オ姉さん!悪ふざけも大概にしてくれ!」

「あ?」
「えっ?あ!」

飛鳥花は驚いた。ツヲが腕を押さえているのはどう見ても小学生ぐらいの少女で、とてもツヲの姉には見えなかった。

フォウルも驚いた。まさかマチネに炎の国に封印されているはずのオネがいて、自分達に襲いかかってくるなんて思ってもみなかった。


「かかかっ。」
ツヲに腕を取られていた少女は不敵に笑った。同時に蜥蜴の姿をした炎精霊(アフレエテ)も消えた。召喚した精霊は一定以上の攻撃を受けるか、召喚者の意思のどちらかで精霊界に還る。精霊を消したということは戦いを止めたという意思表示に等しい。

「済まん、済まん。敵かと思ったから、つい。」
オネはカラカラと笑った。

「つい、じゃないよ!絶対分かってたでしょ!」
ツヲは困った表情で叫んだ。

「まあそうだが、愚弟と戦うのに理由はいらんだろう。」
オネは妙に真面目な顔で言った。

「分かってたこと認めちゃったよ、この人!ってか、僕は戦う理由が欲しいよ!」
ツヲは切実に叫んだ。

「それに優秀な人材を連れてきたようだし、試したかった面はあるな。」
オネは顎に手を当てて、取って付けたような理由を口走る。

「飛鳥花ちゃんやフォウルにもしものことがあったらどうするんだよ!」

「愚弟がいるんだから、もしももクソもないだろう。」

「はあ…。」
ツヲはオネをたしなめるのに疲れて溜息を吐いた。

「そもそも、お前はフォウルやそこの、え~、飛鳥花?の実力を舐めすぎだ。自分の身は自分で守れる力があるのに手助けするのを過保護というのだ。」

「襲ってくる相手がオ姉さんなんだけど?この世界で一番危険な人が相手なんだけど!?」
ツヲは眉間に皺を寄せている。

「なあに、死にゃあせんよ。今の私は虫一匹殺せないほどに疲れているからな。」

「嘘だ、絶対嘘だ。」

「疲れているのは本当だ。何せ素手で竜を殺して来たばっかりだからな。炎を使わんかったから丸一日?二日?まあ、それぐらいかかったがな。」

「またそうやって無益な殺生を…。って、竜なんてまだ生きてたんだ…。」

「元々は大昔の人間が科学技術を駆使して作ったそうだし、マチネもそんな研究していたんだろう。」

「ふーん…。」

「で、いつまで私の手を掴んでいる気だ?」

「いつオ姉さんが暴走するか分からないからね。」

「お前の嫁が嫉妬するぞ?」
オネはもう片方の空いた手で飛鳥花を指差した。

「ば、ばっきゃろう!恥ずかしいこと言ってんじゃねーよ!」
飛鳥花は顔を真っ赤にして叫んだ。

「ご、ごめん、飛鳥花ちゃん…!僕とオ姉さんはそういう関係じゃないからね?せ、世間では弟と姉はそういう関係になるですことがあるらしいですますけど、僕らは違うから…!」
ツヲは大慌てで支離滅裂なことを言いながら、オネから手を離した。

「おい、ツヲ!流石のあたいもそれが世間の常識じゃないぐらいは知ってるぞ!」

「あ、ああ、そうだね。大概の時代では近親相姦は禁止という決まりや暗黙の了解があったね。」

「そのくせ強い魔法使いを生むために敢えて、という場合があったり、オーサマとかは好き勝手したりっていうのもあったな。それから数が少なくなって自然と、という場合も。」

「もういいから!お前ら少し黙ってろ!」
飛鳥花は耳まで真っ赤になっていた。
(ったく…。こいつがツヲの姉か…。)
飛鳥花はオネの放つ殺気のような鋭い闘気に警戒してずっと身構えていたが、馬鹿馬鹿しいやり取りで少し肩の力が抜けた。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

かわいい

この記事へのコメント

2015年08月20日 23:46
やっぱりわかっていたんですね・・・。お茶目なのかバトルマニアなのか。
そして、ほのぼのすればいいのかニヤニヤすればいいのか。
突然ですが私、滅んだ後の世界というシチュエーションが大好きでして、「火の鳥」とかたまらないです。

佐久間「まさに現在、数が少なくなっている。」
山田「待て。」
八武「これも『火の鳥』の一節だが、子供が男しかいないので、若いままの母親は、女が生まれるまで息子、孫と次々・・・」
維澄「ある意味それは女のロマンかもしれないね。」
八武「しおりん!?」
神邪「母さんは好き勝手したパターンに近いですかね。僕は気持ち良かったので、役得ってレベルじゃないですが。」
維澄「強い子供を作る為じゃなかったんだ。」
神邪「それもあったと思います。感覚としては、ドラクエで配合を行うようなものですね。」
山田「そんな気軽に・・」
佐久間「ツヲハーレム。」
山田「ツヲは飛鳥花一筋と信じる。」
2015年08月21日 18:21
コング「気づくのが遅いと思ったら、気づいていたか」
火剣「戦う理由はいるだろう、普通」
ゴリーレッド「相手がオネでは手助けするのも仕方ない」
火剣「やはり素手で竜を倒したか」
コング「梁山泊の鉄牛も人食い虎を素手で撲殺したな」
ゴリーレッド「ツヲ兄の動揺が凄い」
火剣「過去に後ろめたいことがあるのか?」
コング「ツヲ紳士に限ってまさかそんなことがあるわけがない。実の妹としようなんて、妹が言ってきても断るであろう、ぐひひひ」
ゴリーレッド「やはりオネは普通にしていても鋭い闘気を発しているのか」
火剣「イメージが湧く」
コング「さて、オネには嫉妬しなくても、かわいいアールとの再会には、飛鳥花がジェラシー湧いてトラブルにっひっひっひ」
ゴリーレッド「人の不幸を笑う男」
火剣「アールとオネもただじゃ済まないし、アールとツヲ一行の再会は軽くヤバイ」
2015年08月21日 20:06
>アッキーさん
正確には、誰か来たから取り敢えず炎を投げ付けて、その後ぐらいに、あ、ツヲだった、というような感覚です。オネさんのお茶目の適当さ加減…。さて、現在ほのぼの展開で進んでいます。今までの殺伐(?)とした展開の反動なのか、それとも人が居なさすぎて死ぬ展開がないからなのか。
文明が滅んだ後の世界というのは色々ありますよね。本当に誰もいなかったり、少なからず生き残りがいたり、新しい環境に適応した生物が生まれたり。火の鳥でもそんな話がありましたね。
現在、人間の数は激減していますので「火の鳥」展開ルートが存在する?この場合だとラブシンクロイド的なほうか?ツヲさんは、現在は飛鳥花さん一筋だと思います、多分。惚れっぽい人ですが、気持ちはピュアで一途と思われますので。
ドラクエで配合といえば、バグだったか忘れましたが、キラーマシンとユニコーンでキングレオが生まれるというのを利用してお見合いスライムファングからのマダンテユニコーン、そして、ベホマ、ザオリク、爆裂券、マダンテ、疾風突きのキングレオを作り出すことが出来たのを覚えています。リメイク版では出来ないとは思いますが。
2015年08月21日 20:06
>火剣獣三郎さん
取り敢えず人影を見かけたから攻撃を仕掛けてみて、そのすぐ後に、あ、愚弟だ、と思った感じです。そこで止めておけばいいのに戦いたかったという理由で戦闘続行。攻撃される相手はたまったものではありませんね。取り敢えずツヲさんの手助けで戦闘終了です。
オネはさらりと言っていますが竜を屠るのにかなり苦労したはず。VS魔物なので、人間が虎や牛と戦うような戦いだったかもしれないのに…。
ツヲさんの過去は謎に包まれていますが、何だか後ろめたいことでもあるのでしょうか…?ゼロとの会話での勘違いは未遂(?)ということで。
戦闘大好きのオネは通常ですら闘気を発しております。攻撃の意思のあるなしより、誰かから攻撃された時に瞬時に戦闘に移行出来るような感じかも。常在戦場。
取り敢えず、ドタバタの内のオネとの出会いだったし、見た目は小学生低学年ほどなので飛鳥花の嫉妬の範囲には入らなかったようです。しかし、アールとの再会は少々不穏かも…。このまま何事もなければいいのですが、世の中はそう都合よく行かないものなので…。さて、どこでバトルが始まるのやら…。

この記事へのトラックバック