英雄再来 第十八話 再会7

感動の再会。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

『ツヲ様、オネ様、こちらが本日のお召し物になります。』

「ありがとう、水神霊(ウンディーネ)。」

「相変わらず仕事が早いな。かかかっ。」

ツヲが召喚した水神霊(ウンディーネ)がいつもの旅人の服と、小さな可愛らしい服をどこからともなく持ってきて、二人はそれに着替えた。



「お待たせ、飛鳥花ちゃん、フォウル。」

「ん…。」
飛鳥花はツヲの手を少し強く握った。

「では、改めて…。ようこそ、我が城へ!」
オネが巨大防壁の大きな扉を押すと、扉はゆっくりと開いた。オネがスタスタと歩いていく後ろにツヲが、その隣に手を引く飛鳥花が、その隣に並んでいるフォウルが一緒に中へと進んでいく。


「ツヲ、兄弟喧嘩も程々にな…。」

「面目ない…。」
ツヲはオネとの戦いに集中する余り、飛鳥花を放っていたことを猛反省していた。
(飛鳥花ちゃん、少しまだ不機嫌な感じが残ってるなあ…。まあ見方によっては、飛鳥花ちゃんを放って他の女性とイチャつていたのに等しい訳だし…。オ姉さんだから、というのは言い訳にしかならない…。紳士たるもの自分の過ちは誠実に反省しないといけないなあ…。)


飛鳥花はツヲの手を引きながら、その隣にいるフォウルに声をかけた。
「フォウル、ありがとな。ワザワザ…。」

「友達が危ないところに飛び出していくなら、わたしも一緒に行くよ。」

飛鳥花とフォウルはお互いにクスリと笑った。



巨大防壁の中は先程、上から見た通りにほとんど何もなかった。歩く地面は一度溶けて固まったかのような均一な状態になっているところもあれば、黒焦げだったり、瓦礫で埋まっているところもあった。家も同じで、溶けているか、焼けているか、壊れているか。無事なものはほとんどなかった。
段々歩いていくと先の方に何やら建物が見えた。周囲の建物とは違い、まともな形をしているだけで新たに作ったものだと分かる。その建物のすぐ近くに何やら巨大な物が見える。それが何なのかはよく分からない。ただ、肉の焼けるいい匂いが漂ってきていた。


「おうーい!アール、今帰ったぞー!」

オネが手を振りながら叫んでいると建物の中から一人の女性が出てきた。土埃で汚れた黒髪を頭の後ろで結び、汚れた侍女服に身を包んだ高身長の女性。豊満な体つきは遠くからでも分かるほどだった。

「お帰りなさい…。」
その女性は元気のない声でオネを迎えた。疲れているのか覇気はあまり感じられず、目は伏せがちであった。だが、その伏せがちな瞳もオネの後ろを歩いてくるツヲ達を写した瞬間、大きく見開かれた。女性は数秒程、目を丸くして、驚き叫んだ。
「…えっ!?ツ、ツヲ兄様!?それに、フォウル姉様まで…!!」

「やあ、久しぶりだね、ゼロ。」
ツヲは優しく笑った。

「大丈夫…?少し痩せた…?」
フォウルは心配そうに見つめた。

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この記事へのコメント

2015年08月25日 23:45
あれから少し時間が経っていますが、アールは立ち直れていない様子ですね。
しかし思わぬ再会に、テンションあげずにはいられない!

佐久間「長姉が幼女で末の妹が豊満。やはり精霊か。」
山田「年齢を自在に変えられるお前がツッコミ入れるべきところじゃない。」
佐久間「ツッコミではなく感想だ。」
八武「御坂シスターズも末っ娘がグラマー。よくあることだよ。」
維澄「オネは自分の体にコンプレックスを抱いたりはしないんだろうな。」
佐久間「精霊だからな。」
神邪「人間の肉体を捨てているから、実は成長モデルもあるんですよね?」
八武「うむ、フェニックスにもなれるくらいだから、美幼女から美少女、美女へ変身することは容易いはずだ!」
山田「何を力説してるんだ・・・?」
2015年08月26日 17:08
火剣「わが城へか。落城・奪還は現実のものだ」
ゴリーレッド「ソルディエルは今どこに?」
コング「なるほど、彼女の目の前なら、たとえ妹でも姉でもイチャついたら嫌な気分になるだろう」
火剣「正式に彼女ではないと思うが、飛鳥花は短気だから気を使わないと」
コング「オネが姉だから、フォウルが妹だからは、ほとんど関係ない。アールの麗しいルックスが飛鳥花に火をつけるのです!」
ゴリーレッド「人の不幸を望む男」
コング「ルックスだけではない。勘が鋭いおなごなら、アールのルックスと色香はツヲ博士好みと気づくはず」
火剣「アールは軟禁状態だったか」
コング「監禁じゃなかったのか」
ゴリーレッド「ゼロ、か。アールはどう出る」
コング「ぐふふふ。飛鳥花はどう思う」
2015年08月27日 00:07
>アッキーさん
アールは、自分が守りたいものが根こそぎなくなり、マチネもこの通り崩壊したのはさぞかしショックでしょう。本来なら究極の奥の手まで使って一時はかなり疲弊しましたが、チュルーリ一家の一員だけあって多少は復活しました。そして、まさかのツヲ兄、フォウル姉との再会!アール自身、全く予期していなかったので余計驚いています。
人間ならば姿形は年齢が上な姉の方が妹より成長しているはずなのに、オネとアールは全くの逆。精霊には人間の常識は当てはまらないのかもしれません。この場合どちらが異常かというと、オネは色々あって人間としての肉体をほとんど失って、魔力と炎で体を補い、精霊的に存在しています。しかし、最初が人間として生まれたために姿形は通常は人間の姿になっているのです。
そんな、人間の常識が通じないオネさんに身体的コンプレックスはなさそうですね。強いて言えばもっと強い体になりたい、という気持ちはあるかもしれませんが。おそらくは大きい体よりも小さい体の方が小回りが利くし、力を集約しているので威力の高い攻撃を繰り出しやすいという利点から幼女の姿なのかもしれません。やろうと思えばアールのような姿になることも出来るかも。
2015年08月27日 00:07
>火剣獣三郎さん
マチネを陥落させたオネは、当然そこを新たな自分の城としました。実は大昔、封印される前にこの場所に住処を作ったのはチュルーリであり、それを発展させたのがオネ達六人の子ども達。視点を変えれば、オネは何百年ぶりに自分の家に帰ってきたと言えるのかもしれません。ソルディエルはアールが助けたので生きているはずですが、どこにいるのか…。この荒廃したマチネのどこかに…?
久々の姉との再会で口論になりましたが、規模がデカイだけで見ようによっては彼女を放って他の女の子とおしゃべりをしているようなもの。と、脳内で紳士持論を展開したツヲさんは激しく反省しております。飛鳥花は短気で意外に嫉妬深く、激情家なので…。まるでニトログリセリンのように取り扱い注意か?一度火が付いたら大変なことになりそうです。果たしてアールとの血で血を洗うバトルに発展してしまうのか。
さて、監禁されているかと思われたアールですが、オネは特に何もしていません。「鍵のかかってない牢に入れた」というのは要するに個室をあてがったというだけの話。本当にオネさんは誤解を招くような言葉ばかり…。まあ、姉が実の妹を監禁だなんてそんなことするはずないですよね、ははは…。
感動の再会シーンですが、飛鳥花は、そしてアールはどう出るのか。

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