英雄再来 第十六話 アール6

終わった…。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

本来、魔力を大量放出すれば数秒や数十秒で途切れてしまう。魔法攻撃も同様で、永遠に撃ち続けられる攻撃などない。しかし、アールの放ったエターナル・フォール・ブラストは継続時間が異常に長い魔法攻撃である。その高い威力に加えて継続時間の長さ故に、最強の魔法とまで称されていた。

その長き攻撃が終わり天空からの魔力砲撃が途切れた後、アールの意識も途切れ始めた。アールはゆっくりと前のめりに倒れる。

(終わった…。)

その時、倒れるアールを受け止めた者がいた。

(え…?誰が…。)



「かかかっ。見事な攻撃だったぞ、アール。」
それはオネだった。体中が消し炭のように真っ黒で、髪の毛からは赤い色がなくなりくすんでいて白熱もしていなければ魔力の放出も抑えられている、完全に力を消費しきった印象を受ける姿だった。
「勝者か敗者かを知らずに気絶するのは酷だろうと思ってな。結果を知らせに来た。」

消耗はしているがオネの表情はとても晴れやかだった。

「やれるじゃないか。やれば出来るんだ、アール。遠慮などせずに自分の主張を貫いていいんだ。お前はいつも謙虚だったな。だが、こんな狂った世界なんだ。自分の好きに、自由に、思った通りにすればいい。相手が自分の姉だろうが何だろうが自分が決めたのなら突き進めばいい。全力でやって、あがいて、もがいて、這ってでも前に進み、苦しみのたうち回っても、痛みを堪えてでも自分のしたいことを全てやりきる。それが『生きる』ってことだろう?今日、この戦いでお前は全力で生きた。そして生き延びた。だから、この戦いは――――――。ん…?」

オネは既にアールが気絶しているのに気が付いた。
「何だ、もう寝てしまったのか…。まあいい。」

オネは抱えたアールを丁寧に下ろして地面に寝かせた。
「どれ、しばらくこのまま寝かせておいてやるか…。」
眠っているアールを見下ろすオネは慈愛に満ちた母親のような表情を浮かべていた。大きなことを成し遂げた子どもを誇らしげに見守るかのような温かな視線であった。

「さて、今のうちに住処でも整えておくか…。形が悪かろうが最初は雨露さえ凌げればいいかな。」

オネはまだ溶かしていない遠くの方の建物を使おうか、近くの多少変形した建物を使おうか、ドロドロに溶けた土塊を集めて固めて住処を作ろうか考えていた時、背後に視線を感じた。

「誰だ?」

オネが振り向いた方から何者かが飛び出した。

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この記事へのコメント

2015年08月08日 14:30
ゴリーレッド「エターナル・フォール・ブラスト」
火剣「捨て身の攻撃に出たか」
ゴリーレッド「なるほど天空から攻撃が降るというのは人間には無理だ。魔法使いならではの攻撃」
コング「倒れるアールを受け止める者? もしかしてツヲ兄!」
火剣「オネか・・・終わった、何もかも」
ゴリーレッド「力石徹になるのはまだ早そうだ。オネはアールを認めたか」
コング「でも住所がどうのと言っている。計画は諦めてないのか、それとも」
火剣「オネの背後に? 今度こそ」
コング「ツヲ兄か」
ゴリーレッド「ツヲ紳士はそういう登場の仕方はしないだろう。さっきのようにアールを受け止めるならわかるが」
火剣「マチネの人間だとしたら、無闇にオネを攻撃して火を再燃させるのも得策ではない気がするが」
ゴリーレッド「完全に全滅したわけではないから、ほかの人間は今どうなっているのだろうか」
コング「オネの言葉。あがいて、もがいて、苦しみのたうち回って、痛みに堪えて・・・これってg」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「まだ何も言ってない!」
ゴリーレッド「感動の場面を壊すのは許さん」





2015年08月08日 23:27
やっぱり子供の成長を見守る母親だー!
元祖チュルーリの性格が濃いから仕方ないのかもしれません。むしろ説教する父親タイプかもしれませんが。
姉であり、母親であり、父親であり、師匠である。それがオネ?

佐久間「オネが余裕すぎて腹筋つらい。」
山田「見た目は酷いことになっているが。」
佐久間「印象だけだ。実際に消耗しきったわけではあるまい。」
山田「まあそうだろうけどさ・・・。」
維澄「出てきたのは、ソルディエル?」
八武「いや、アールの悩ましい姿に興奮して飛び出してきた私だ! いくよアールちゃん!」
山田「ラリアット!」
八武「おべうっ」
山田「終わった・・・。」
佐久間「お前なあ。」
神邪「そういえば、位置付けとしては、僕がオネさんの立場になるんですかね?」
佐久間「弟妹を導くがいい。」
神邪「わあ、責任十代。」
山田「字が違うぞ。」
神邪「まあ、むしろ弟妹の方が自由に生きてますけどね。」
維澄「けっこう神邪もフリーダムに生きてると思うけど。」
佐久間「そこから逆に考えて、オネも印象ほど自由じゃないんだろうな。私も不自由の極みだし。」
山田「どこがだよ。」
佐久間「ほらな、印象と実際は違うんだ。」
山田「お前が言うと説得力がガタ落ちだ。」
2015年08月09日 10:01
>火剣獣三郎さん
最後の最後の手段、捨て身の攻撃で力を使い果たし倒れるアール。科学力が進めば静止衛星レーザー砲とか、ラピュタの雷とか、あんな感じで天空からの攻撃が可能になるのかもしれませんが、今のところは魔法使いでないと不可能ですね。
力を使い果たし、倒れるアールを抱きかかえたのはツヲさんではなくオネ。ここにツヲさんがいなかったことが悔やまれます。ただ、オネは気絶したアールをこれ以上どうこうする気はなさそうです。しかし、勝ちは勝ちなのでオネ王国建造はこれっぽっちも諦めていないのか。それとも単純に家を作ろうとしているだけなのか。
アールの出番が一旦終了したと思ったら今度は別の人影が…。ツヲさんならもっと堂々と登場しそうですね。ツヲさんではなさそうなら、マチネの生き残りか。再び戦いが始まってしまうのか…?
2015年08月09日 10:01
>アッキーさん
精霊だのなんだのと言いながら実はオネは弟妹に甘い側面があるのかもしれません。最も、片や大量殺人鬼なので、相対的にいい人に見えているのかもしれませんが。本来の母親であるチュルーリが少し長い眠りに就いてしまったので、長女であるオネが何だかんだで皆の面倒を見てきたのかも。
言葉から受ける印象よりかは余裕ないかもしれませんが、まだまだ余力十分で戦えます。というか、先頭になればどこからともなく力が湧いてくるタイプかも。
さて、物陰から飛び出したのはソルディエル?アールの魔法でもう回復したのか。となるともう一度死闘を繰り広げることになるのか。藪さんが出てくる可能性は微粒子レベルで存在…いや、しないか。
弟妹を導くのは長男、長女の役目という言葉はツヲさんの口から出てきそうですね。オネは弟妹には自分で頑張って勝手に育てと言うかも。チュルーリの放任主義的なところを受け継いでいるので。さて、オネは果たして自由なのか不自由なのか。真の自由とはなにか。そんなことを考え出すと結構時間が経っていたってことありますね。

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