英雄再来 第二十三話 ミッド3
ゆっくりと変わる世界。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「受けませんね。」
これまたミッドは即答した。
「オネ様はもう十分に強くなられましたから。」
「ちっ。勝ち逃げか~。」
オ姉さんから殺気が消えた。
「あの時のツヲとお前の戦いっぷりを見て燃えたんだがな~。」
「え?ミッドはツヲ兄ちゃんと戦ったの?」
フォウルは興味津々でオネとミッドを交互に見た後、僕の方を振り向いた。
「結果は引き分けだったね。」
「そうでございましたな。」
僕とミッドは目線を合わせて懐かしむように笑った。
「ほんま!?ミッド、凄いんやね!」
フィベが目を輝かせて叫んだ。ツレエは半信半疑でミッドを見ている。
「そうだ。私のミッドは強いのさ。」
母さんが自慢げに話す隣でミッドは謙虚に振舞う。
「昔の話でございますよ。今はツヲ様に遠く及びません。」
あの日の戦いの後、母さんはミッドを僕の教育係から外した。僕が十分に成長したから、もう教育係は不要だと言って。あれから僕は独学で勉強と修行をするようになり、少しばかり母さんにも稽古をつけてもらった。いつもコテンパンにされたっけ。
ミッドは僕の教育係でなくなったけれど、ちょくちょく意見を求めたり話を聞いてもらったりしていた。僕の中では未だにミッドは師であり、僕の目標であり、僕の憧れなんだ。僕はまだミッドに追い付けていない、そう思っている。
そのミッドが、もうすぐ死ぬ。
僕の中に、小さな渇きが生まれるのを感じた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「受けませんね。」
これまたミッドは即答した。
「オネ様はもう十分に強くなられましたから。」
「ちっ。勝ち逃げか~。」
オ姉さんから殺気が消えた。
「あの時のツヲとお前の戦いっぷりを見て燃えたんだがな~。」
「え?ミッドはツヲ兄ちゃんと戦ったの?」
フォウルは興味津々でオネとミッドを交互に見た後、僕の方を振り向いた。
「結果は引き分けだったね。」
「そうでございましたな。」
僕とミッドは目線を合わせて懐かしむように笑った。
「ほんま!?ミッド、凄いんやね!」
フィベが目を輝かせて叫んだ。ツレエは半信半疑でミッドを見ている。
「そうだ。私のミッドは強いのさ。」
母さんが自慢げに話す隣でミッドは謙虚に振舞う。
「昔の話でございますよ。今はツヲ様に遠く及びません。」
あの日の戦いの後、母さんはミッドを僕の教育係から外した。僕が十分に成長したから、もう教育係は不要だと言って。あれから僕は独学で勉強と修行をするようになり、少しばかり母さんにも稽古をつけてもらった。いつもコテンパンにされたっけ。
ミッドは僕の教育係でなくなったけれど、ちょくちょく意見を求めたり話を聞いてもらったりしていた。僕の中では未だにミッドは師であり、僕の目標であり、僕の憧れなんだ。僕はまだミッドに追い付けていない、そう思っている。
そのミッドが、もうすぐ死ぬ。
僕の中に、小さな渇きが生まれるのを感じた。
この記事へのコメント
いつの間にかツヲの渇きは収まっていたようですが、それはミッドの父なる愛ゆえ。
そのミッドがいなくなったとき、再びツヲは飢え乾くのか・・・?
オネとツヲは対極に見えて、独りでいられないところが似ているのかもしれません。寂しがりとは少し違う、まさしく“渇き”。
そう考えると、パートナーのいる現ツヲと違って、オネは独りなんですね・・・。
佐久間「頭抜けた者には孤独が付きまとう。それもまた楽しいことだが。」
山田「フィベは素直だが、ツレエは懐疑的だな。フォウルはその中間か。」
ミッドの完全防御。もう何も受け付けてくれません。本当に残り寿命が少ないので、最後の時間は全てチュルーリに捧げるという訳です。この頃にはオネも引き際というものを心得るようになりました。人は成長する。例え半分が精霊であったとしても。
英雄再来 第二十二話 過去のツヲ10
http://92428657.at.webry.info/201608/article_4.html
で一度は潤されたはずの渇き。その渇きに終止符を打ったミッドがもうすぐいなくなるという事実。人は大なり小なり、いつも愛情に飢えているのかもしれません。未来を不安にする懸念材料の一つが再び動き出すのか。
思えばツヲさんの周りにはいつの間にか人が集まってきます。一方、オネはソルディエルに振られ、アールもパートナーとは呼べず、どうにも独り。ツヲさんの周りに集まる者の一人ではあるのですが…。
フィベの素直な可愛さに癒される…。ツレエは逆に大概のことに素直になれないので、この頃はいつもこんな感じかも。フォウルもこの頃はまだフィベ寄りですね。今現在はちょっとネガティブな性格になってます。