英雄再来 第二十三話 ミッド5

振り返って。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

走馬灯というものがあると聞いた。人が死ぬ直前に、生まれてから今までの記憶が瞬間的に蘇る現象だ。おそらく、この時間も現実では一瞬の出来事なのだろう。わたしはミッド。チュルーリ様に仕える者だ。

わたしの生まれはウエリストのとある貴族の次男坊。長男は家督を継ぐために必要な教育を受け、次男以下は各分野で活躍するための教育を受けた。教養、常識、兵法、話術、武術…。参謀としても、外交官としても、軍人としても、要人の執事や家庭教師としても活躍出来るように様々なことを教えられ、その中で適性があった者はその職業に就くために更なる専門的な教育を受ける。
その流れは先祖代々続いており、生まれてきた子どもは全て貴族・名門を維持・発展させるための道具でしかなかった。姉妹は誰しもがより大きな貴族の家に嫁ぐことだけを念頭に育てられる。一見特別扱いされているように見える長男ですら結局は道具だった。父も母も優秀で便利な道具を愛するかのように兄を、わたしを、弟妹達を愛した。

しかし、それが間違っていたとは思わない。わたしが恵まれた環境にいて大切にされたことは事実なのだから。国を見渡せば明日の飯にも困る者達が大勢溢れている。そして彼らはそれが当たり前だと思っている。そんな状況に追い込んだのは王族・貴族なのにも関わらず。当時の搾取制度を理不尽だと断ずるだけの教養が彼らにはなかった。だからこそ貴族の気まぐれな施しに歓喜するし、王族が言うこと―――真ん中の土地を手に入れれば諸君らの貧しさは解消される、それを阻んでいるイーリストこそが全ての元凶だ―――を容易く信じる。
だが、その心の奥底に不平・不満が確実に存在していた。しかし、一人ひとりが逆らったところで軍による弾圧・逮捕が待っている。誰もがその薄暗い気持ちを抑えて笑顔を作るのだ。いつの間にか自分の意思で作ったように錯覚して。


中央の土地を巡ってのイーリストとの敵対関係が本格化し、ついに戦が始まった。今までの小競り合いではない。殺し合いの総力戦だ。持てる者からも持たざる者からも徴収が始まった。武器、食料、そして人。
家庭教師達によって適性が診断され、わたしは軍部所属が的確だと診断された。参謀の適性が最も高く、次に部隊長の適性が高かったそうだ。そのままならば大部隊の参謀としての任に就くための道を辿っただろうが総力戦のための兵の増員に次ぐ増員で部隊数はかなりのものとなっていた。なので、わたしが最初に任に就いたのはある小隊の隊長だった。

その初陣、わたしは興奮していた。自分自身が今までに培った力を試す機会が訪れたと、この戦で功を上げて家を更に盛り立てることが出来ると。それが自分の役割であると信じて疑わなかった。


戦場は甘いところではなかった。命懸けの殺し合い、殺す方も殺される方も必死だった。弓矢の飛び交う戦場で剣を突き立て合う。小隊に一人しか配属されなかった魔法使いは真っ先に敵に狙われ、殺された。わたしは頭が真っ白になって無我夢中で剣を振り回した。大声で部隊に指示も出していたが何を言っていたのかは覚えていない。
斬り裂いた敵兵が叫びながら血を流す。倒れていた敵兵が一瞬の虚を付いて足を掴んでくる。そこに剣を付き立てて必死で引き離そうとした。敵兵の叫びを聞いて他の仲間が向かってくる。剣が抜けない。必死だった。火事場の馬鹿力で無理やり引き抜いた。剣で斬っていた訳ではない。とにかく振り回していて剣で殴っているというのが適切な表現だった。学んでいた剣術という技術を全く活かせなかった。
その戦いで部隊の人数は半数以下になった。それでも、その戦いは制した。周りの者達は喜んだ。涙を流し、嗚咽を響かせ、生き残ったことを喜び合った。そして、わたしに感謝した。二十三人も生き残ったと。隊長自らも前に出て一緒に戦ってくれたことが何よりも嬉しかったと。
その日の飯は食料班に頼んで一番豪華にしてもらった。自分の分はいいから、部下達にとにかく腹一杯食わせようと、そうしなければいけないと何かに迫られるように思った。その日、わたしは何も口にしなかったし、夜中に自分の天幕に戻った後、胃の中に残っていた物を全て吐いた。

二回目の戦いでは奇襲を用いた。ようやく自分が学んでいた兵法が役立った。この戦いでも死傷者は出たが作戦目的を遂行することが出来て一区画を制圧した。数回の出撃の後には部下から軍神のような扱いを受けていた。わたしが隊長になってから負けなしだと。新たに補充した兵士も使いながら、わたしは部隊を率いて連戦を重ねていた。連戦の功績によって、わたしは中隊を任されるようになった。

段々と戦場の常識が分かってきた。わたしのように部下を労い、ましてや共に剣を取り戦う部隊長は多くない。むしろ少ない方で、優勢の時には自分の手柄にしているが劣勢になれば部下を見捨てて我先に逃げ出す者、更には部下に無茶な突撃命令を出しておいて逃げる時間を稼ぐ者までいると聞く。そうして逃げ延びた者は大概、王族と繋がりのある大貴族の次男、三男だ。都合のいいことばかりを言って責任を部下に押し付け、また新たな大部隊の隊長として部隊を率いる。
ウエリストの王族とその周辺連中は、ただ純粋に真ん中の土地が欲しいのではない。自分達の地位を保つためならば何でもする。その手段がたまたま戦であり、真ん中の土地の獲得であっただけなのだ。

だが、それは敵のイーリストも似たようなものであった。劣勢になると即座に逃げ出す指揮官がいた。最前線では自分の部下が命懸けで戦っているにも関わらず。ウエリストの内部事情に詳しくなっただけに、イーリストの内実が容易に想像出来た。
言い知れぬ気持ち悪さを抱えたまま、わたしは戦場で勝ち続けた。


連戦を繰り返していたウエリストだったが、ある時から戦況が変わった。イーリストが【英雄の子孫】を投入したのだ。一般の魔法使いとは比べ物にならないほどの破壊力を持つ魔法の使い手で、大部隊が相手だろうと遠く離れた場所から、ただの一発の魔法で壊滅状態に追い込む。それがイーリストの【英雄の子孫】、フォールスという名の化け物だった。

そして、わたしの部隊もフォールスによって全滅した。わたしが奇跡的に生き残れたのは部下の一人が咄嗟に庇ってくれたからだ。日頃の行いが生死を分けた。だが、わたしの部下は誰一人として生き残ってはいなかった。わたしを逃がすためにフォールス率いる部隊へと向かっていったことは戦場の黒焦げた死体の散らばり具合から分かった。誰も逃げようとしなかったのだ。
確かに逃げたところで敵の追撃が来るだろう。運良くウエリストに逃げ帰れても一般の兵士達に待っているのは臆病者の誹りと、その汚名返上のための再出撃。より過酷な戦線に送り込まれるのは間違いない。そして、この制度から逃げ出せはしない。ウエリストに家族がいるのだから。


生き延びたわたしはボロボロの体を引きずってウエリストへと帰還した。そこで待っていたのは軍法会議だった。わたしは任されていた部隊の全滅の責任を一手に押し付けられることとなった。それは認める。わたしの部下が死んでいったのは間違いなくわたしの責任だ。だが、わたしが押し付けられた責任はそれだけではない。
フォールスを足止め出来ず手傷も負わせられなかったことに対する戦意の有無の疑い。敵前逃亡の疑惑。食料の過供給による着服の疑い。更には根も葉もない噂によるものもいくつか。

早い話、他の大貴族の率いた部隊の全滅の責任、ひいてはこの負け戦の責任を押し付けられたのだ。誰でもよかったのだ。中流貴族の次男が率いる部隊が連戦連勝しているのが面白くないと思っている連中が、負けたことをいいことにここぞとばかりに飛びついたのだ。連戦中はうやうやしく接していた連中の誰もが掌を返したように軍法会議で、わたしが不利になる嘘交じりの発言ばかりをしていた。戦に勝つことよりも自分達の地位の維持にしか興味がないのだ。今もまだイーリストの【英雄の子孫】は進撃を続けているのに。奴がここまで到達すれば全て失うというのに。

だが王から言い渡された処分は、わたしが今までに立てた功績もあるのでウエリストの【英雄の子孫】の参謀となり、この戦を勝利へと導くこと。それが名誉回復の唯一の道であり、わたしの家の名誉と発展は全てここに掛かっているということだった。



何だ、そんなことを言い渡すためだけに長々と軍法会議を行い、無駄な時間を費やしたのか。



結局、自分達で罪を作り上げ、それを晴らすための場を設けたという体勢を取りながら成り手のいないウエリストの【英雄の子孫】の参謀の任を押し付けたのだ。ウエリストの【英雄の子孫】は罪人であり、その下で働くなど大貴族の次男、三男などは誇りと名誉が許さなかったのだろう。または、その罪人の暴走を恐れたか。
かと言って、誰でもいいという訳ではない。この作戦は優秀な者が担わなければならない。後がないのだから失敗は許されない。そういった重大な責任を負えるだけの度胸と能力のある者がもういないのだ。聞けば、軍の八割がイーリストの【英雄の子孫】によって壊滅的な打撃を受けて相当数が死亡したとのことだった。生き残りもいるそうだが今も帰還途中か増設した救護施設で治療中だという。

回りまわって、わたしにお鉢が回ってきたのだ。イーリストの【英雄の子孫】を止められるのは同じ【英雄の子孫】しかいないのだが罪人であるウエリストの【英雄の子孫】にどんな首輪をつけるべきか悩んだのだろう。五十年以上前の大量殺人鬼、それがウエリストの【英雄の子孫】だと聞いている。魔法で不老不死になっているそうだ。

どんな者なのだろうか。初めての顔合わせの前は緊張の一瞬だった。そして、実際に会って見て驚いた。見た目が僅か六、七歳程度といったところだろうか。白く簡素な服に身を包んだ小さな女の子がそこで待っていた。その黒く美しい髪は長くて床まで達していた。身長は当然低く、わたしの腰の辺りに頭があった。

しかし、相手が誰であろうと、どんな姿をしていようと構わない。わたしのやるべきことは一つだ。
「初めましてチュルーリ様。この度、参謀の任を承ったミッドです。」
ウエリストの【英雄の子孫】に仕えること。わたしはその小さな彼女に対して敬礼した。その時、彼女は満足そうに微笑んだ。


「ミッド、だな。よろしく。お前の主な仕事は私の傍を離れないこと、いいな。」

「はっ、かしこまりました。」



そして、まず彼女がわたしに命令したのは食いきれないほどの量の晩飯を用意することだった。
「今日の予定は戦場に連れ出す部下への褒美をやること。やっぱり人間、食わんと駄目だ。腹を空かしたまま死ぬなんて最悪だろう?」

その日の晩飯は王宮料理長のマンサに頼んで飛びっきり豪華にしてもらった。マンサの所にも上からお達しが来ていたようで事情をろくに話さないままに二つ返事で了解してくれた。また、マンサも従軍した娘が死んでいる身だ。戦場に出る者のために、とことんまで奮発してくれた。そして、マンサも明日は我々と一緒に従軍する者の一人だった。



次の日、ウエリストの【英雄の子孫】の部隊は国の命運が掛かっているにも関わらず、僅か数十名という人数で出発した。その部隊の見送りに国民の多くがやって来て、まるで勝利の凱旋のような振る舞いで送り出した。
だが、ほとんどの者は自分の意思でここに来たのではない。王の命令によって無理やり来ているだけだ。もし、来ていない者がいれば密告者の情報によって家にすぐに軍隊がやって来る。刑罰を受けて釈放された後は周囲の者から非国民と罵られ不平・不満の捌け口にされる。だから、ほら、怪我をした者まで多くやって来る。形だけでも参加したんだと、まるで自分の意思でここに来たかのように振舞って、張り付いた笑顔で、心の篭らない声で、いってらっしゃいと叫ぶ。
勝利を、頑張って、イーリストなんか一捻りだ、勝って、平和を、やっつけろ、王様万歳、【英雄の子孫】万歳…。


その道行く中で彼女は常に笑いを堪えるかのように笑みを浮かべていた。そして、その見送りが途切れてから笑い声が大きくなり、ついにはケタケタと笑い出した。

「なあ、ミッド。さっきの見送りはずいぶんと滑稽だったな。」

「はっ。」

「お前は何を一番滑稽に感じた?」

彼女の質問にわたしは心の中で戸惑った。試されているのか。ここで下手なことを言えば王国に対する反逆罪で処罰される可能性もあった。既に部隊を失ったこととそれに付随した様々な罪によって次は恩赦など偽りであっても与えられることはない。そうなれば我が家にも確実に累が及ぶ。
だが、わたしは一つの予感があった。彼女になら自分が思ったことを正直に言ってもよいのではないか、という予感だった。この予感が外れていれば首が飛ぶだけでは済まないのにも関わらず、わたしは思っていたことをそのまま端的に口にした。

「はっ。わたしが一番滑稽だと感じたことは自らの意思で見送りに来たかのように振舞う民衆です。」

「なるほど。私はこんな小部隊のために必死に作った笑顔だな。心の中では勝てないと思いつつ、我々に希望を託すしかない。かかっ。」

その瞬間、わたしは確信した。彼女、チュルーリ様はわたしと似た思想を持っていると。思い返せばチュルーリ様は罪人だ。国王に対して不平・不満があるに決まっている。少なくとも、わたしを売るような人間ではない。それに―――――――――。



「今日の予定は戦場に連れ出す部下への褒美をやること。やっぱり人間、食わんと駄目だ。腹を空かしたまま死ぬなんて最悪だろう?」



わたしと同じ考え方だった。わたしは既にチュルーリ様に運命のようなものを感じていた。例え、フォールスと同じ化け物のような魔法使い―――【英雄の子孫】―――であろうとも、大量殺人の罪人であろうとも、もう関係なかった。

殺人ならば、わたしも同じだ。
付き従おう、チュルーリ様に。
この先、何があろうとも―――――――――――。










ああ、チュルーリ様。先立つ不幸をお許しください。
ある日、チュルーリ様はわたしに向かって仰いました。永遠の命を得る気はないか、と。それがあれば永遠に共にいられると。その時、わたしはその提案を喉から手が出るほど了承したかったのです。チュルーリ様の傍に永遠にいられるというのはこの世界のあらゆる富を合わせたよりも豪華で魅力的な褒美ではありませんか。
しかし、わたしは断りました。わたしは人間のミッドです。人間としてチュルーリ様に仕える者です。永遠の命を得たのなら、それはもう人間ではありません。
チュルーリ様、人間はチュルーリ様が思っているよりも弱い生き物です。永遠の命を得て人間でなくなった時、果たしてわたしはわたしでいられるのか。長い長い年月の果てに、わたしはわたしを忘れてチュルーリ様の障害となるかもしれません。永遠に生きるとはそういうことです。今の人間のままであるならば、わたしはチュルーリ様の害にはなりえません。この通り、非力な存在であります故に。

悔いがないと言えば真っ赤な嘘です。しかし、人間はいつか死ぬもの。早いか遅いか。それだけなのです。精霊であるチュルーリ様には理解し難いかもしれません。同じ人間であったとしても、わたしの思想を理解出来ない者もいるでしょう。しかし、わたしには永遠は勿体無いほど。おそらくは宝の持ち腐れになるでしょう。
今までのわたしは限りある命だからこそ工夫し、努力し、足りないものを補おうと必死でした。しかし、永遠の命を手に入れてしまえば何もしなくなるのではないでしょうか。工夫も、努力も、永遠の命があれば必要に迫られることがなくなります。気まぐれに工夫し、気まぐれに努力するのでは、そこからは何も生まれません。もう後がないのだと、命は限りがあるのだと、この戦いは絶対に負けられないのだと、思うからこそ今のわたしがあるのです。チュルーリ様はわたしを好きだと言ってくださいます。しかし、永遠の命を得て、わたしでなくなったわたしを見ればきっと失望することでしょう。

人間のわたしを愛して頂いたのなら、死ぬことまで含めて愛してください。このミッドの一生に一度のワガママを、どうかお聞き届けください。


それではチュルーリ様、お休みなさいませ。


そして、いってきます。


チュルーリ様、わたしはチュルーリ様にお仕え出来て幸せでした。そして、今、貴女に見守られながら旅立つ、こんな喜びは他にありません。


今までありがとうございました。











第二十三話 ミッド 終わり

第二十四話に続く。

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この記事へのコメント

2016年08月08日 02:04
ミッドの過去、壮烈で濃密な人生。
私も色々なところで思想が似ています。
優秀な道具を愛するように子供を愛する親に対して、反発する子供の話は多いですが、そうした反発が美化されるあまり、反発しない子供が弱虫扱いされることがあってはならないし、敷かれたレールを歩むことも立派な人生だと思います。
とはいえ、そのレールも磐石ではなく、意外と脆いもの。戦場に送られたミッドの臨場感が伝わってきて、学んでいたことも活かせないあたりが、もうホントあるあるで。だけど次からは学んでいたことが役に立って、良かったなァ・・・と思う間もなく、フォールス登場。「英雄の子孫」ではフォールスの心情が事細かに描かれていますが、ミッド側からすれば災害に等しいのですよね・・・。
2016年08月08日 02:04
軍法会議での結論に対する感想も、ぴったり一致しました。言われたら普通に参謀の任に就きますよねぇ。そんなにミッドが恐いんですかね? 優秀な者は妬まれ、恐れられ、貶められる・・・そんな愚かな軍閥社会。
そして民衆の愚かさについても、色々と頷けます。自分たちから奪っているのが誰なのかもわからずに、略奪者の言うことを鵜呑みにして戦争を賛美する。いつでもどこでも、似たような光景は繰り広げられている。
だけどミッドの見ている本質は、より深いところにあるんですね。民衆は本当は、わかっている。わかっていて諦めている。強制されたことを、まるで自分の意思であるかのように錯覚し、個を捨て去る。ファシズムを構成する多数決の原理は、その多数が意思を捨てているからこそ、より深刻な―――もとい“滑稽”なのでしょう。
これを読んでいると、大西巨人の「神聖喜劇」を思い出します。ミッドの精神は、東堂と通じる部分が少なからずありますね。戦争の本質を見抜き、“滑稽さ”を見る、そこにチュルーリは自分と同じものを感じたはず。ミッドがチュルーリにシンパシーを感じたように、チュルーリも。
2016年08月08日 15:05
>アッキーさん
タイトル通り、最後はミッド。彼の独白によって、今までの彼の人生の一部を見てもらいました。結局のところ、ミッドは親の期待に良く応え、自分の家の維持・発展に対して何一つ逆らいませんでした。けれども、チュルーリによってウエリストも崩壊。全てがゼロとなり、家がどうこうなどというレベルではなくなった。先祖代々受け継がれてきたものも絶対ではないし盤石でもありません。流石にチュルーリによって崩壊することを明確に予想していた者はいなかったと思いますが、そうでなければフォールスによって結局は破壊されていたでしょう。

ミッドは魔法が使えなければ、この頃は魔道具の存在も深くは知りません。当時は魔法使いが魔道具を扱い、それ以外の者には絶対に扱えないというイメージが一般的でした。実際は、魔法を使えなくても魔道具を使えるケースはあるのですが、魔法使いの方で研究され独占されていました。
なのでミッドは人間として剣を振るい、人間として学んだことを活かせたり、活かせなかったり…。とにかく必死で、全力でした。そこに登場するのがフォールスで、イーリストの反撃、そして大虐殺が始まります。ミッドとフォールスはお互いの事情を知ることもなければ、言葉を交わすこともありませんでした。もし、お互いのことを知り合う機会があったなら、別の未来があったかもしれません。
2016年08月08日 15:06
国王を初め、王族やトップの連中はチュルーリに首輪を付けることを考えましたが、その首輪には頑丈な鎖をつけておきたかったのです。ミッドがもし命令に逆らったりすれば他に適任者がいない。新たな適任者を探している間に戦況は更に悪化する。【英雄の子孫】が化け物のような魔法使いであることは周知の事実なので、ウエリストの本国周辺が戦場になることを避けるためにも焦っていました。ぶっちゃけた話、フォールスの侵攻速度が速すぎて深刻な人材不足にも陥っていました。

イーリスト国王がフォールス出撃の時にピアリティを人質に取ったように、ミッドが裏切らず、しかも必死に働くようにするための念押しがしたかったのでしょう。しかし、そのようなことをせずとも帰って来たミッドを温かく出迎え、よく生き残ったと喜び合い、そして他に頼める者がいないと正直に打ち明け、参謀として危険な任務について欲しいと言えばミッドは快く引き受けたでしょう。
だが、トップ連中はミッドのそういった思想を理解してはいなかった。敗北した者に罪人を連れて再出撃を命じても肝心な時に逃げ出すかもしれない、そう考えた訳です。国王、本当に器がちっちぇえなあ…。
2016年08月08日 15:06
ミッドは幼い頃からの英才教育によって視野の広い人間に育ちました。貴族の家の出身ではありましたが、大貴族ほどではなかったので王宮方面ばかりを見ることはなかった。もっと言えば王国のことを思えばこそ、その大多数を形成している国民の方に目が向いた。その頃からずっと考えていた訳です。
意思は行動に反映される、行動は意識を変革する。例え、最初は自分の意思ではない強制的な行動でも、それを行い続ければ次第に自分自身の意思で行動しているように錯覚する。その方が生きていく上で「都合が良い」から。悪い意味で慣れてしまう。
ウエリストで生まれ育ったミッドが物事の表面に囚われず、その奥まで見ることが出来るように成長しましたが、そう多い例ではないでしょう。そして、チュルーリもまた梅花さんの教育の賜物か、それとも精霊という視点を持っていたからか、ミッドと近い思想を持っていました。まるで同族同士が惹かれ合うかのように。この出会いは運命だったか、それとも必然だったか。

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