英雄再来 第二十四話 ツヲ放浪記7

ここは魔女の(ザー)よ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

『初め(ザー)てだね、ワー(ザー)ヲ・チュル(ピー)。私は(ガガッ)の魔女WW(ダブル)。わざ(ガガッ)来てくれ(ピー)とう。』
それは奇怪な声だった。澄んだ女性の生身の声と機械の合成音を掛け合わせたような、今までに聞いたことのない声。無論、ツヲは機械の合成音を聞いたことはないが生身とは何かが違う声が混じっているのは分かった。
『ん?のどの調子が(ガガガッ)。あー、(ピー)。』

『海の果てに魔女がいた…。』
海の果てに自分の知らない世界が広がっている。それだけでツヲは言いようのない知的好奇心の高揚を感じていた。
『海の果てにも生き物がいたんですね!魔女WWさん、あなたは何者ですか!?そこで何をしているんですか!?海の果てはどんなところですか!?他に生き物や「人間」はいるんですか!?ところで、どうして僕の名前を知っているんですか!?ひょっとして、あなたは精霊で、そこは精霊界なんでしょうか!?』

ツヲは矢継ぎ早に質問をした。自分の頭に浮かんだ疑問を間髪入れずに言葉にした。その問いに魔女の返答が返ってくる。

『はい(ザー)、せっか(ガガッ)まで来(ピーガー)ら答(ガガッ)ね。その前に…。』

ガンッ、ガンッ、と何かの金属を叩く音が響いた。

『これでしばらくは大丈夫かな。』

その後に雑音や機械音のない、人間の女性の声が聞こえてきた。

『じゃあ質問に答えていくぞい。』

ところが次の瞬間、その声色が老婆のものに変わった。

『何者かと言われれば魔女WWと答えるのが一番、正しい表現じゃろうなあ。』

そう言いながら魔女の声は小さな男の子のものへと変化する。

『何をしているかと言われれば、待機と観察、そして祈りかな。』

言葉が途切れることなく自然なまま、今度は若い男の声に変わる。

『ここは暗くて静かな場所だ。』

魔女の声は年齢、性別が次々と変化していった。

『他の生き物かあ…。ここに落ちて来ることはあっても留まり続けることはないね。元の世界に返すか、そのまま下に落ちるかのどちらかだよ。』
『君の名前、知ってる死ってる!同じ魂を持つ別の君に会ったことがあるからね。』
『精霊?そうであると言えるし、そうでないとも言える。精霊という括りに入れても構わんとは思うが正確には魔女WW。これが一番いい表現だろう。』
『ここは精霊界じゃないわ。もっと下の方の場所なの。』

魔女は様々な声でペラペラと喋る。その答えの一つ一つによってツヲの好奇心は更に掻き立てられた。一つの答えが更なる疑問を呼び寄せる。ツヲは更に質問を投げかけた。

『どうして声が変わるんですか?あなたは何人もいるんですか?待機とは何を待っているんですか?観察とは何を観察しているんですか?祈りとは何を祈っているんですか?あなたがいる世界に名前はありますか?その世界の下はどうなっていますか?僕と同じ魂を持つ存在とは何―――――?』

グラリ。その瞬間、ツヲは眩暈を感じた。

『?』

『おっと、いけない。あなたは精神だけがこの場所に辿り着いた。だから肉体は向こうに置いてきてる。早く戻らないと肉体と精神が切り離されて死んでしまう!死はいけない!死んだら何も出来(ザー)い!』
魔女の声からは慌てている様子がヒシヒシと感じられた。そして、ツヲの意識の混濁と共に雑音も増えていく。
『せっかく(ザザッ)で来てくれたのに何のお礼も(ザザー)いけど、死な(ガガッ)ば会える可能性は残る!どれほど微か(ガーピー)も!大丈夫!すぐ(ピー)たの世界に戻(ザー)!』

『待ってく―――――!』

『私に会いに来(ガガガッ)ありがとう!凄く嬉(ザーザー)。』

次の瞬間、ツヲは意識を失った。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2017年09月16日 22:00
魔女との邂逅。これがツヲに何をもたらすのか・・・?
しかし魔女WWは謎が多いというより材料が少ないので、今のところ特に注目しなくていいのかも。
私の方では渦宮さんも似たような感じでした。本格的な出番が来たときに一気にキャラが濃くなればいいのですよね。(ベルトルさんとか闇星の咲音さんとか)

佐久間「ギャップ萌えというやつか。」
山田「ちょっと違うような・・・。だいたい正しいが。」
八武「どうやら私もキャラを濃くするときが来たようだ。」
維澄「今まで薄かったの?」
八武「それはさておきポルターガイストみたいな存在だねぃ。念の吹き溜まり、ミストバーン・・」
2017年09月17日 21:23
>アッキーさん
世界の果てでの魔女との出会い。梅花さんも出会った魔女WWですが、あの時も少しの助言だけでしたね。今回も然したる影響はないかもしれません。いずれ本格的に出る時が来るはずですが、それはまだまだ先になるかも。

ツヲ「ギャップ萌え。それは例えるなら普段は勝気な妹が甘えてくる瞬間だったり、普段はしっかりしている妹が見せる隙だったりする、常に僕の理性を試す試練のことさ!」
白龍「ガンバレー。紳士、ガンバレー。」(棒読み)
ツヲ「僕の紳士属性を強化する必要性があるようだね。」
白龍「その属性を強化すると必然的に変態紳士度も上がる気がしますね、ツヲさんの場合。」
ツヲ「しかし、返す返すも不思議な体験だった…。」
白龍「確かにあそこは吹き溜まりのような場所です。様々な世界から漏れ出たものが落ちて来る場所…。そして魔女もまた例外ではない…。」

この記事へのトラックバック