脱衣決闘 第二話1

第二決闘(セカンドデュエル)「アブナいリポーター」

つまり加藤という女性デュエリストは公式記録上、無敗なのです。
『週刊デュエルジャーナル』より抜粋




ここは世界デュエル大会一次予選のB地区会場。二日目の今日は1000人ほどの参加者が4分の1になる。前半で半分、後半で更に半分のデュエリストが敗退するのだ。
世界大会とはいえ、まだ一次予選の二日目である。他の会場でも同様の数の試合が行われることを考えれば、B地区会場に集まった報道陣の数は異様の一言であった。しかし、それは無理からぬことである。報道すれば確実に数字が取れる選手の参加が昨日、判明したのだから。
そのデュエリストとは、もちろんキャロル・キャロライナ・クリスティーヌ加藤である。世界デュエル大会前年度準優勝者のダンディ岸本が一目を置く新人、ブレイズ熊平を破ったことも話題性アップの要因となっていた。


「・・・三年前の地方で開催されたデュエル大会。そこに出たっていうのが奴に関する最古の公式記録だ。」

前半の試合に勝利し、去っていく加藤の後ろ姿を観客席から見つめる男がいた。深々と帽子を被り、無精髭を触りながら男は独り言のように喋る。

「加藤・・・。大会参加の書類上はキャロル・キャロライナ・クリスティーヌ加藤だが、本名不詳。年齢不詳。デビュー前の経歴不詳。そして、一年ほどデュエル界で暴れた後、パッタリと姿を現さなくなりやがった・・・。」

「どうしてですう?」

隣のマイクを持った女子が小首を傾げる。

「知るかよ。知ってりゃ今、こんなところに居ねえ。」

「プロデューサーさあん・・・こんなところ、は無いんじゃないですかあ?」

「オレにも人並みに出世欲ってのがあんだよ。はあ・・・。当時は結構、騒がれてたから真実を掴めば大スクープだったんだがな・・・。」

「結局、真実は掴めず、と。」

「ああ。ガセと噂と憶測が飛び交いまくって訳の分からん状態になってた。デュエルに飽きただの、敗北を恐れただの、地下デュエルに手を出して裏専(うらせん)に狩られただの、色々と噂は飛び交ったが真相は闇の中だ。」

用語解説:裏専(うらせん)
裏のデュエル専門の省略形。デュエルの公式大会などには参加せず、ギャングやマフィアが開催、経営する非合法の決闘場でのみデュエルを行うデュエリストのこと。

「でも、二年の沈黙を破って、ついに復活した、と。」

「まあな。だから、どこの放送局も当時の真相を聞きだそうと躍起になってる。だが・・・。」

「語ってくれないんですか?」

「・・・昨日、その場に居合わせたレポーター達が聞きだそうとしたが駄目だった。『デュエルで勝てたら語ってあげるわ』だとよ。」

「なるほどお。それで誰も勝てなかった、と。」

「ったりめえよ。公式記録172戦全勝だぞ?」

「・・・はい?」

「だから、全勝。どんな大会に出ても負けなしで、挑戦者も片っ端から倒しまくった。非公式の場の試合数を数えりゃ、もっとだろうな。奴は無敗の女王なのさ。」

「非公式の場で負けたってことは・・・?」

「ないな。当時、奴に勝てば一躍有名になれたから挑む奴はゴマンといた。が、誰一人として奴には勝てなかった・・・。ちなみに勝ったとホラを吹くと加藤自らそいつの前に現れてデュエルを挑んでくるんだ。」

「へー。それはそれは・・・。とにかく、加藤選手が凄く強いってことは分かりました。さっきの試合も4000対0で勝ちましたし。」

「馬鹿、あの試合の何を見てたんだ。ありゃ、相手が弱かっただけだ。レアカードばっかりブッ込みゃ勝てると思ってる典型的な金持ちタイプのデュエリスト。コンボもシナジーもなけりゃ、コンセプトも戦術も見えてこない。全く、だらしねえ・・・。カードが泣いてるぜ。」

「プロデューサーさん、熱いですね。」

「馬鹿、カードに注ぎ込んだ金が勿体無いってだけだ。」



「ところで、熊平選手はどんな感じだったんですか?」

「そうだな・・・。ブレイズ熊平は・・・才能はあっただろう。ダンディ岸本に見込まれたっていうのもガセじゃなさそうだ。昨日のデュエルもいいとこまでは行ったんだが・・・。・・・おい、小波(こなみ)。お前、まさか昨日の試合見てないのか?」

「ちゃんと見ましたよお、録画の奴を。それで思ったんですけど・・・。」

「ん?」

熊平選手のアレはプレイングミスじゃないですか?



男は腕を頭の後ろに組んで、フーッと息を吐いた。

「・・・将棋のプロ棋士も稀に禁じ手を指しちまうことがあるらしい。」

「え!?そうなんですか!?」

「一番悔しかったのは熊平自身だろうぜ。」

「なんだか可哀想ですね・・・。」

「だが、それがデュエルの世界だ。敗北の苦さを知った熊平が、再びデュエルフィールドに立った時にどう成長してるか見物だな。ただ・・・。」


ク~。どこかで誰かの腹の虫が鳴いた。


「あは。」

小波は顔を少し赤くしながら笑った。

「プロデューサーさん、そろそろお昼にしましょうよ。加藤選手の午後の試合開始まで時間あるんでしょ?実は、わたし、お弁当作ってきたんですよ!もちろんプロデューサーさんの分もありますよ~。・・・って、あれ?ない!ない!なーい!家に忘れてきちゃったー!?うえええええ・・・。」

「ったく、騒がしい奴だな・・・。ほれ。」

男はポケットから取り出した財布を小波の頭に乗せた。

「へっ・・・?」

「次の試合も面白そうだからオレは観戦する。だからお前はコンビニで弁当二つ買って来い。上司命令だ。」

「あは。プロデューサーさん、大好き。」

小波は男の帽子をサッと取り上げると無防備なホッペタにキスをした。

「馬鹿!さっさと行って来い!」

男は帽子を乱暴に取り返す。

「はあ~い。」

小波は駆け足で去っていく。

「ったく・・・。」

男は帽子を深々と被り直した。



創造神からの出題4
以下の3つの選択肢から今の創造神の心情に合致するものを選べ。
1.おい、デュエルしろよ。
2.リア充爆発しろ。
3.いいから脱衣するんだよぉー!

直感で構わないので画面に向かって「1」か「2」か「3」か、の台詞を叫んでみよう。
叫んだ君も叫ばなかった君も、今日から脱衣決闘だ!
(この出題の解答は読者の心の中にある。)

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