英雄再来 第十四話 エクス3

お前の勝機は握り潰そう。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

『が、は!!!』

ペリドットは大爆発の中から少しでも爆発の少ない方へと全力で移動して、爆発に巻き込まれながらも安全圏まで脱出した。煙を飛び出し、新鮮な空気を吸い込んだその時、奇っ怪な眼鏡をかけたエクスの手のひらがこちらに向いているのが見えた。

(『しまった――――――!』)

光子力放射が放たれる。その軌道は完全にペリドットを捉えていた。



『キャハ!』
ところが光子力放射がペリドットに当たる直前で風精霊(シルフィード)が間に割って入った。乱入した風精霊(シルフィード)は光子力放射を弾き飛ばした。
『アー、ウー。』
風精霊(シルフィード)はまたしてもペロリと舌を出して笑った。



(ペリドットよりも厄介なのは風精霊の方かぁ。)
風精霊(シルフィード)が舌を出して笑った瞬間に、エクスはもう弓矢を構えていた。王道具『神すら操る人の糸(ゼウス・エクス・マチネ)』から弓矢を取り出すのも、それを構えるのも、呼吸でもするかのような無駄のない動きだった。
(ペリドットは動きが鈍い。ビィ達がある程度の体力を削ってくれたおかげかな。ただ、精霊は疲れないし、傷付いても魔法使いを叩かないとすぐ回復する。まともに相手にはしない方がいいなぁ。)
エクスは弓矢を放つ。ただし、放ったのは矢ではなく爆弾だった。

『キャハ!』
風精霊(シルフィード)はペリドットに当たらないように大きな風の手で爆弾を受け止めに向かった。だが、風精霊(シルフィード)が爆弾を受け止める直前、眩いばかりの光が広がった。
『アー、ウー!?!!?』


エクスが放ったのは爆弾は爆弾でも閃光弾であった。強い光を出すだけで直接的な殺傷力はないが、外界からの情報の多くを視力に頼っている者が視界を奪われたらどうなるか。戦闘では圧倒的に不利になり、それがそのまま勝敗を決することも珍しくない。
では、エクスは閃光弾の光をどう交わしたのか。目をつぶっていても強過ぎる光を避けるには光源とは反対方向を向けばよい。しかし、エクスは後ろを向くどころか閃光弾を放った後、そのまま突撃を開始したのだ。


エクスが砲撃戦を始めてから隙を見て王道具『神すら操る人の糸(ゼウス・エクス・マチネ)』から取り出したのは煙も暗闇も光の中であっても相手を見失わないようにする特殊な眼鏡だった。その大きさと重さはかなりなものだが、魔力を探知するので爆撃の煙の中でも正確にペリドットを狙うことが出来たのだ。


そして今、エクスはその特殊な眼鏡を付けているために光などもろともせずに、強烈な光にやられて悶えている風精霊(シルフィード)の隣を駆け抜け、ペリドットの目の前までやって来た。



『うおおおお!!!』
ペリドットは目を瞑って多少は光を避けたが、強過ぎる光のために多少の影響は受けていた。それでも瞳を見開き、エクス迎撃のために魔法を放つ。
『ウィン――――――!!』
だが、その瞬間ペリドットは激しい頭痛と目眩に襲われた。
(『ガッ!!クソっ…!また…!こんな時に…!』)
ペリドットは古代魔法銃デスチル・ジュールを手にした前後から時々、原因不明の頭痛が起こっていた。その痛みに気を取られた一瞬をエクスが逃すはずがなかった。風精霊(シルフィード)はまだ後方。ペリドットは風の結界どころか簡単な魔法すら使えない。エクスの手のひらから光が放たれる。光は光線となりペリドットの腹部を貫通した。

『ぐぎゃああああああああああああああ!!!!!』

ペリドットの叫び声が戦場に響き渡った。

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