イセカイ 前編

頭からすっぽりとかぶったヘルメットで、彼女の顔は見えない。体中の全ての関節や腹部や胸部などの弱い部分はメタルコーティングされていて、彼女の弱点は見えない。見えるのは二の腕や太ももの肌、そして長い尻尾。
彼女の名前はイセカイ。高い身体能力と世界間を行き来する能力で『何でも屋』をしている。依頼料は高いが、それだけの仕事をするプロフェッショナルだ。今までに請け負った仕事は成功率100%。顧客の満足度も高い。
朝は日課の筋力トレーニングをした後、ブラックコーヒーを一杯。手のメタルコーティングのせいでコーヒーを作るのに多少の時間はかかるが、これも訓練の一つ。メタルの上からでも色々な作業が出来るだけの精密なコントロール力を養っている。そして、うまく出来た時には尻尾がフリフリ。あの尻尾を触りたい、欲を言えば叩かれたい。
ギロッ。
あ、済みません。ちゃんとします。何でも屋、イセカイに解決出来ない依頼はない。困りごとがあるあなたは是非ともご連絡を。

「オッケーです、姉御!」
『こんなCMで上手くいくのか?』
「大丈夫です、姉御。姉御の素晴らしさが凝縮されていますから。依頼人がどんどん来ますよ。この前の写真集の売れ行きもばっちりですから!」
『機械工学系の雑誌じゃなかったか?』
「姉御に比べりゃ、ボディパーツの方がおまけですぜ。CMの編集はお任せくだせえ。それと今月の売り上げは口座に振り込んであるんで、足りなかったら言ってくだせえよ。取り分は6:4でも、7:3でも構わねえんですから。」
『正当報酬だ。感謝している。』
「あっしの仕事は姉御の素晴らしさを、世界を越えて伝える事ですから。では。」

イセカイはコーヒーの残りを飲みながら、今の生活に少し物足りなさを感じていた。機械工学の急速な発達により人々の暮らしは便利なものとなった。その反面、今まで人の手で行ってきたことも機械によって行われるようになった。その結果、イセカイへの単純な力仕事の依頼は来なくなった。時々は世界間を行き来する特殊な依頼は来るが、大抵は私利私欲の依頼なので断っている。この前、最後に解決した依頼は世界間で離ればなれになった三人をめぐり合わせることだった。
依頼解決による収入は激減。ただし、それで生活が苦しくなったことはない。メタルパーツを紹介する雑誌のモデルの仕事とその仕事を斡旋してくれる自称イセカイの舎弟(熱狂的なファン)によって収入は安定している。むしろ一番依頼が多かった時期より、今の方が収入が多い。その事もイセカイを憂鬱にさせた。自分の力をもっと使いたい。そう思いながら、彼女は今日も依頼人が来るのを待っていた。

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この記事へのコメント

2012年09月23日 23:25
今度の萌えもまたマニアックで私好み・・・ゲフンゲフン、以前はチョイ役で造形を思い浮かべたりすることもありませんでしたが、舎弟のおかげでよくわかります。感謝します。
しかし当の本人は悩める日々。贅沢な悩みかもしれませんが、自分の望んでいるのとは別の方面で評価されるというのは面白くないことなのでしょうね。モデルも嫌いではなさそうですが。

八武「弱い部分! 弱点!」
山田「何に興奮してるんだ?」
八武「剥がしてみたいねぃ。」
山田「でも剥がすとメタリックレディじゃなくなるぞ。」
八武「た、確かに! 深い!」
山田「いや、深くはないけど・・。」
八武「お主も男よのぅ。」
山田「どんだけ朴念仁だと思われてるんだ俺?」
2012年09月24日 22:02
>アッキーさん
ピンポイントでハートキャッチ!思わずニヤリです。
前回はある意味、恋のキューピット?スポットは彼らと彼女に当たっていましたが、今回はイセカイさんです。
自分の力を存分に発揮出来る場がないという悩み、確かに生活が安定しているので贅沢と言えば贅沢。しかし、活躍の場が欲しいというのは誰もが大なり小なり持っている気持ちのような気もします。

白龍「おや、イセカイさんの熱狂的なファンがまた増えたようですね。」
パルナ「そう、なの…?」
白龍「メタル+尻尾+姉御+α=イセカイですからね。ファンが付くのも当然!」
パルナ「そうなんだ…。」
白龍「しかーし、イセカイさんの神秘のベールを剥がすのはNGですよ。」
パルナ「それはその通り。」

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