スイッチ 前編

「じゃあ始めるよ!君の命を賭けたゲームを!」
放課後の教室に大きな声が響く。僕はそれで眠気が吹き飛んで、机から顔を上げた。僕が突っ伏していた机は寝息で軽く湿っていた。僕の目の前には一人の女の子がいた。知らない子だ。別のクラスの子だろうか。その子が着ているスカートが軽く揺れる。その子はニコニコ、そわそわしている。僕の反応を待っているようだ。しかし待てよ。今、あの子は何と言った?
「え?」
僕は確認したくて声を出した。しかし、それはその子の求めていた反応とは程遠いものだったようで、その子は不満そうに言う。
「だからぁ、ゲームを始めるって言ったの。」
違う。僕はそのゲームの前提について確認したかったんだ。僕の命が懸かっている?この子は何を言っている?何がしたいんだ?僕は目をパチクリさせていた。声に出して聞けばよかったのだろうけど、起きたばっかりで頭があまり回らない。そうこうしている内に話すタイミングを逃してしまった。表面的には無反応に近い僕を見てその子は溜め息を吐いた。
「ふう。まっ、いっか。じゃあ勝手に始めるね。」
そう言って、その子は近くの机の中をチラチラと見て、一つの机の中に手を入れて何かを取り出した。それはボタンのついた箱だった。
「じゃ~ん、スイッチで~す。」
その子は楽しそうにそれを振って僕に見せる。手のひらサイズのプラスチックの箱の真ん中にゴム製の赤いボタンがついている。確かにスイッチだ。その子は次にスイッチの裏面を見せる。そこには文字が書かれていた。先ほどの机の座席主の名前だ。そのスイッチはそいつの持ち物じゃないのか?何であいつがスイッチを持って来てるのかは知らないが、勝手に取ったら泥棒だぞ。
「彼って確か運動部だよね。今はグランドで練習中?」
そうかもね。僕は心の中で返事した。
「じゃあ、丁度良い。」
その子は口だけで、わざとらしいほど大きく、不気味な笑顔を作った。
「ゲーム名『スイッチ』始まり始まり~。」
そう言ってその子はスイッチを押した。次の瞬間、グランドの方から何かの破裂音が響いた。僕は反射的にグランドを見に行った。三階の廊下の窓から見下ろしたグランドは一部が赤く染まっていた。何人かの人が騒いで、混乱しているのが分かった。

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この記事へのコメント

表裏
2012年09月27日 22:39
何この恐いの!(゜□゜;)
これからどうなるかがとっても気になります!
2012年09月27日 23:17
まさか・・・ルビ子ちゃん? それともプリスター?
自分の名前が書いてあるスイッチが押されると死ぬ、というルールでしょうか。恐ろしいゲームが始まりました。

佐久間「自分と同じ顔をした虫が死ぬと、同じ死に方をするという民話があったな。」
山田「俺は『GANTZ』を思い出した。」
佐久間「ん~、イイ感じに人の命が粗末に扱われていて、興奮してきた♪」
山田「お前が恐い。」
2012年09月28日 20:37
>表裏さん
恐い話、始まりました!
さてさてどうなることやら…。
2012年09月28日 20:37
>アッキーさん
ヤバめのゲームを始める女の子と言えば…。さて、誰でしょう。
さっそくルールを推測して頂いているとは、ありがとうございます。

パルナ「ねえ、ルビデやプリスターだったらもっと口が悪いような気がするんだけど。」
白龍「相手によって口調も変わるかも。」
パルナ「ん?今、視線をそらさなかった?」
白龍「それよりもとんでもないゲームが始まりました。ゲームの結末やいかに。」

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