英雄再来 第十四話 エクス7

何かがおかしい。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

(『くそっ…!腹が…苦しい…!喉の中に血が上ってくる…!』)
ペリドットはオウの砲撃とビイの狙撃の連続攻撃から逃げながら、エクスに開けられた腹への損傷を引きずっていた。傷口は何故か塞がっているが、穴を開けられたことには変わりない。さらに他の班長達も連続攻撃に加わろうとしている。数の上では五対一という構図になりそうだった。その時、ペリドットは自分の背中に強い力を感じた。
(『!古代魔法銃デスチル・ジュール!魔力充填が完了したのだな!』)

『ぬおおおおお!!』
ペリドットは風の刃を地面に叩き付けて竜巻を作り出し、班長達の追撃を振り払った。そして一気に空に舞い上がった。ペリドットは近接攻撃も砲撃も届かない程の高さまで浮かび上がるとそこで静止した。

ペリドットは古代魔法銃デスチル・ジュールから強い魔力の胎動を感じていた。
(『殺せ…!』)
(『殺せ…!』)
(『マチネを皆殺しに…!』)
(『皆殺しに…!』)
その魔力はペリドットに向かって言葉を発しているようだった。

(『何かがおかしい…。』)
ペリドットは古代魔法銃デスチル・ジュールから溢れ出る魔力に対して言葉に出来ない違和感を覚えていた。それはペリドットにとっては小さな違和感であったが何故か無視してはいけない気がした。
(『何か大切なことを忘れているような…。』)
その瞬間、ペリドットは激しい頭痛に襲われた。
(『ぐっ…!!がっ…!!』)
その痛みは頭を掘削機で削られているような激しい痛みだった。
(『古代魔法銃デスチル・ジュールを使った反動か…?やはり、強力な力は負荷も大きい…。だが、これで決着を付ける!!そうだ、これでようやく決着が付けられるのだ!仲間達を殺したマチネの害虫共を根絶やしに出来る!この世界に平和をもたらすことが出来る!そうだ、そのためにはこんな痛みなど耐えてみせる!トルやアクアやガーネットやムーンストーンが受けた苦しみはこんなものじゃない!魔法使い達が受けた痛みはこんなものじゃない!!この痛みと引き換えに世界に平和をもたらせるなら安いものだ!』)

(『殺せ…!』)
(『殺せ…!』)
(『マチネを皆殺しに…!』)
(『皆殺しに…!』)

(『そうとも!これで皆の仇が討てる!皆の苦しみを奴らにも与えることが出来る!』)
ペリドットは背中の瘤に手を突っ込み、そこから古代魔法銃デスチル・ジュールを取り出した。
『貴様らああああああ!!』
古代魔法銃の銃口が地上にいるエクス達に向けられた。
『懺悔の用意は出来ているか!?貴様らが殺した魔法使い達全員に謝る準備は出来ているか!?貴様らが殺した罪なき者達への贖罪をしてもらうぞ!貴様らの命でもってなあ!!!消え去れえええええ!!!』

ペリドットは古代魔法銃デスチル・ジュールの引き金を引く。強大な魔力が再び収束し、地上へ向かって放たれた。たった一発で避難してきたマチネ住民の大半を消し飛ばした魔法弾が、今度はエクス達七人に向けて放たれた。
デスチル・ジュールの攻撃範囲は広く、キュウの王道具『電光石火(イダテン)』でも安全圏までの脱出は不可能だった。デスチル・ジュールの破壊力は凄まじく、七人の王道具を全て結集させても歯が立たないほどだった。加えてエクスはまだアイの治療が終わっていない。

この七人にペリドットの攻撃をどうにかする手立てはなかった。

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この記事へのコメント

2015年07月08日 20:34
火剣「心で負けないことが大事だ」
コング「♪負けないこと、逃げ出さないこと」
ゴリーレッド「歌わなくていい」
火剣「どこまでいっても平行線だな」
ゴリーレッド「交わることはない。永久に平行線だ」
コング「エクスとは交わりたいと思ってるかもよ」
ゴリーレッド「独り言か?」
コング「しかし、ペリドットは本気で純粋にこれで世界に平和を取り戻せると思っているのか」
火剣「そこが悪魔と魔法使いの違うところか」
ゴリーレッド「悪魔は世界平和なんか考えていない。魔法使いは人間だが悪魔は人間ではない」
コング「そんなに悪魔を連呼してNGボックスに行かないか?」
火剣「違和感?」
ゴリーレッド「無視できない違和感か。何だろうか」
コング「ヤバイなペリドット。違和感は放っておいてはいけない」
火剣「エクスたちはどうするのか?」
コング「拘束してないから何とかなるさ。ペリドットも相手を一瞬にして拘束する技を覚えればな。拘束されるとヒロインは『卑怯だぞ!』というが、拘束してからの攻撃こそ理にかなっている」
ゴリーレッド「長い」
火剣「拘束されないスピードを皆持ってるからな」
コング「それは残念」
ゴリーレッド「何か言ったか?」
コング「なんにも」
2015年07月08日 22:33
おかしいと言えば、この状態で生きていることが既に、おかしいことなのですが・・・。それ以外にも何かある?

佐久間「オネ登場フラグ!」
山田「何でもいいから助かってほしい!」
神邪「ここでオネーさんが登場したら、かっこよすぎて惚れそうですよ。」
佐久間「そうやってツヲのハートも鷲掴みにしていったんだな。」
維澄「最強幼女カモーン。」
八武「君たちオネのことが好きすぎだろ。」
山田「しかしペリドットは可哀想だ。ジュールズの人々だって、殺されていいはずはなかった。」
佐久間「そう言えば、どうして仲間の受けた苦痛を知っているのかなァ・・・。」
山田「何だその笑顔は。」
佐久間「いや、デスチル・ジュールが単なる高出力の銃だとしたら、禁断とされるほどではないと思っただけさ。」
神邪「まさか、魂を食らう銃なんですか?」
佐久間「それ以上・・・かも。」
2015年07月12日 14:46
>火剣獣三郎さん
気持ちで負けると色々と弱腰になったり尻込みしたりしてしまって、結果的に負けてしまう。勝とうとするならまず気持ちで負けてはいけないでしょう。負けない気持ちがあれば道は切り開けるか。
戦うにしてもその戦いの果てで分かり合えることもあるでしょう。しかし、この戦いではそのような未来のヴィジョンが見えません。どこまでいっても交わり、分かり合うことは有り得ないのか。
ペリドットは自分達を殺しに来たマチネがいなくなれば平和が戻ると本気で思っています。魔物を倒せば世界に平和が戻るという感じの発想です。しかし、真に倒さなければならないのはマチネなのか、という部分でこの戦いに勝ったところで世界平和を実現することは出来ない。今のペリドットにはそれが認識出来ません。
さて、ペリドットが感じた違和感とは何なのか。今現在は放っておくことも出来るようなものですが、これを放っておくか、その根源がなんなのかを考えるかで、実は未来が変わってくるかも…。
実の話、今現在のペリドットが持っている力を使えば周囲に巨大な竜巻を複数発生させて、それをどんどんエクス達に近付けていけば、逃げ場がないので特務隊はかなりのピンチです。最初にエクスが竜巻を避けたのはゼウス・エクス・マチネから取り出した鋼鉄製の簡易風よけがあったから。でも、ペリドットは相手を倒すことにばかり目が行っているのでその辺りに気が付いていません。
さて、エクス達はどうなるのか…。
2015年07月12日 14:47
>アッキーさん
確かに爆弾や溶解液や鉄の針を受け、果ては光子力放射で腹に穴が空いたにも関わらず未だに生き続け、動き続けるペリドットは異様としか言い様がありません。その謎はいずれ明かされるはず…。
さて、いよいよ後がなくなった特務隊。絶体絶命です。そのピンチに駆け付ける者が一人おります。皆様の期待に応えて彼女が現れるのかどうか…!?
ペリドットも思えば哀れな…。真実を知ることが出来ればここで傷つきながら戦っていることもなかったはずなのに。風の国から他の国の惨状を見ているペリドットですが、詳しいことは精霊達から聞いたと言っております。
http://92428657.at.webry.info/201505/article_7.html
…ただし、精霊は人間とは異なる感覚と倫理で動いているので、ペリドットのこの言葉は奇妙ではあります。ペリドットが他の国で起こったことをある程度、正確に把握しているので誰かから聞いたか何らかの方法で知ったことは間違いありません。では、一体誰がペリドットにそれを伝えたのか…?

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