英雄再来 第十六話 アール5

これが最後…。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

オネが再び連続攻撃を仕掛けようとした時、上空から軽石が一つ落ちてきた。先程オネが地面を殴り付けた時に空に上がった物だった。それがちょうどアールの頭の上に降ってきた。

「あてっ!」

アールはそれを交わさなかった。正確には交わせなかった。アールの真実の眼は発動終了したのだった。

「え?あ?あれ?」

先程、無意識に使っていたためにアールは再び真実の眼を使う考えが浮かばないどころか、どうやって自分が助かったのかも分からず軽く混乱していた。


(ん?ゼロの集中力が途切れた?まだ完全には使いこなせていないか…。じゃあ、もっと追い詰めれば…。)
炎をまとったオネの体が更に白熱していく。そしてついに周囲の地面がドロドロと溶け出した。
『かかかっ!来た来た!ようやく体が温まって来たあ!準備運動は終了だ。アール、もう一度集中しろ…。そうじゃないと一瞬で終わるぞ?』


オネの呼びかけでアールは戦場にいることを自覚し、軽い混乱状態から普通の状態に戻った。
(そうだ…。ここは戦場、これは戦闘。でも、もうワタシに出来ることは…。ない――――――。)
アールは目を瞑った。その時、アールは一つの可能性に気が付いた。
(――――――…いや、一つだけある…。本来は、使ってはいけない技…。実の姉に向けて撃つなんてとんでもない技…。でも、今のワタシはアール。ゼロは死んだ。オ姉様の妹のゼロは死んだんだ…。)

「次の攻撃…。」

『ん?』

「次の攻撃がワタシの最後の攻撃です…。この攻撃を放った後、ワタシは気絶します…。この攻撃に耐え切れたら、貴女の勝ちです…。」

アールは両足を肩幅ぐらいに広げてどっしりと大地を踏み締め、構えた。

『面白い!来い!アール!!』
オネは準備万端でワクワクしながらアールの攻撃を待った。

「はあああああああ…。」
アールは呼吸を整えながら魔力を高めていく。
(ワタシはアール。世界の真理の名を連ねる、決して完全に損なわれることのない者。その魔力は本来、無尽蔵だけれども一度に出せる量は決まっている。今から、その制限を壊して魔法を使う。ひょっとするともう魔法を使えなくなるかもしれないけれども、それでも…。)

アールは晴れやかに笑った。

(『大切』を、守れるのなら!)

そしてアールは呪文を唱える。

「永遠の轟音、喝采の聖杯――――――。」

(ここなら隊長には当たらない。衝撃も周囲に張った結界が隊長を守ってくれる。だから、ワタシはワタシの出来る全てを、ここで…。)

「届かぬ声は砕けて星降る!エターナル・フォール・ブラスト!!!!!」

天空から光り輝く魔力の砲撃がオネめがけてまっすぐに落ちてきた。高密度かつ大量の魔力をただ降り注ぐだけの圧倒的で豪勢な技。莫大な魔力にものを言わせてひたすらに相手を圧倒する。どんなものであっても力を加え続ければ壊れる。エターナル・フォール・ブラストは必殺と呼ぶに相応しい、アールの最終の奥の手だった。

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この記事へのコメント

2015年08月07日 18:52
>じゃあ、もっと追い詰めれば…。
何故そうなるwww
やはり戦闘狂か・・・。
奥の手を発動するアールですが、それすらもオネを喜ばせる結果に終わりそうなのが恐い。

佐久間「つれえよなあ、制限突破。」
山田「ツレエ?」
佐久間「つらい。そのギャグも辛い。」
八武「辛口評価だねぃ。」
佐久間「無尽蔵の水量を持っていても、蛇口の規格に合わせた力しか出せないんだなぁ。だから、つい体を酷使してしまう。」
山田「佐久間は馬鹿なことに力を使うことも多いけどな。」
維澄「アールは、ここが最期と感じたか。」
神邪「制限を無視したら、むしろ魔力が溢れ出してくるような気もします。」
佐久間「暴走した魔力が爆発を起こす!」
山田「マダンテかっ。」
佐久間「まあ・・・むしろ、これで元に戻れるようなら、この先も無理を繰り返すだろう。」
八武「それはそれで危険だねぃ。」
2015年08月08日 10:58
>アッキーさん
オネの目線は完全に強い相手と戦うことに向いているようです。相手が全力を出してもそれを叩き伏せることが出来るという自信の現れかもしれません。例え、自分が不利になってもより強さを求める、まさにバーサーカー。さあ、アールの一世一代の頑張りの結果は…?
チュルーリ一家は人間という器に精霊を閉じ込めたと見ることも出来るので、精霊なら出来るようなことも色々と制限されています。例えば体の形を変化させるとか。無尽蔵の魔力もその一つ。精霊状態なら自身が魔力そのものですが、アール達は人間の体があるので壊れないように出せる量が決まっています。しかし、自分の体の限界を超えて出せないこともない。その場合、どうなるかは保証が出来ません。暴走した魔力が大爆発を起こし、全てを巻き込むのか。それとも、どこかで安全装置が働いて止まるのか。アールの結末は…?

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