英雄再来 第十七話 アウトマ1

こんなのはただの遊びだ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

「魔法使いいい!!」

物陰から飛び出した者は即座に持っていた連射銃を乱射した。

ガガガガガガガガッ!!

音は盛大に響いたが弾丸は一発もオネに当たることはなく、全てデタラメな方向に放たれていた。それもそのはずで連射銃を撃った者が反動でその場にずっこけていたのだから。

「あん?」

相手をよく見ると兵士とは思えないひ弱そうな老人だった。白衣の老人が身の丈に似合わない連射銃を抱えて地面に倒れ込んでいた。

「生き残りか…。」

オネは一気に距離を詰めると連射銃を奪い取った。

「こんな物で私に勝てると本気で思ったか?」
オネが奪い取った連射銃はドロっと溶けて地面に放り捨てられた。

「ひいいっ!」

白衣の老人は顔を恐怖で引きつらせると一目散に逃げ出した。しかし、逃げる獲物をオネが逃がすはずがなかった。オネはそのヒラヒラと動く白衣に向かって手のひらを突き出し、呪文を唱える。

「炎(ブラーゼ)。」

人間よりも遥かに大きい炎の塊が一直線に飛んで行き、爆発した。
「うわあああああああ!!!」
命中すれば確実に焼死している熱量だった。


ただ白衣の老人はかろうじて生きていて、爆風で吹き飛ばされ転がりながら炎の中から出てきた。その姿はとても泥臭く、戦う意志を持っているとは思えなかった。
「意外としぶといな。何か秘密でもあるのか?」

「ひっ!はっ!」
老人は老骨に鞭打って近くの半分以上溶けている建物に飛び込んだ。

「逃がさんよ。」

オネも老人の後を追って建物の中に飛び込んだ。


この時、オネは遊んでいた。やろうと思えば更なる速さで老人を追い詰め、一撃で頭を砕くことは造作もなかった。この老人が囮、もしくは何かしらの罠が仕掛けられている可能性も頭をよぎった。だが、そこまで警戒するような相手ではないとタカを括った。どんな罠があろうと全て粉砕するだけの自信がオネにはあった。




















その判断がどんな展開を導くのか、その時は流石のオネも想像し切れていなかった。

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この記事へのコメント

2015年08月09日 13:27
火剣「嫌な予感がするな」
ゴリーレッド「そのまま逃がして相手にしなかったほうが良かったという結末か」
コング「みんなオネを応援しているのか?」
火剣「情がないわけではない」
ゴリーレッド「気を失ったアールにトドメを刺さなかった」
火剣「ライオンはイタチなどの小動物を襲う時も、豹のような猛獣と闘う心構えで立ち向かう」
ゴリーレッド「油断大敵だ。豪傑関羽のもとへ敵の将が陣中見舞い。関羽に怯えまくり、膝は震え、声もか細い。関羽は『あんなこわっぱに指揮を執らせるとは、呉も人なしか、ガッハッハッハ!』と大笑い。孔明と同等の大軍師・陸遜の演技だとは見抜けず、関羽は敗北した」
ゴリーレッド「オネは罠かもと見抜いても自分の力に過信したか」
コング「待て待て、まだオネが負けると決まったわけではないし、オネが負けるイメージが全く浮かばない」
火剣「さて、どうなる?」
2015年08月09日 20:13
アウトマ・・・!?
意外っ、それはアウトマ!
いよいよ大博士の秘密が明らかにされるのでしょうか? アウトマは大博士の作戦を知っているはずですが・・・。

佐久間「まさかオネが? いや・・」
山田「万全ならまだしも、アールとの戦いで多少は消耗している。」
八武「封印かねぃ?」
維澄「倒せないなら封じるか。しかしそれはオネにとっては予想できそう。」
八武「いやいや、具体的なプロセスを想像できないという意味かもしれない。」
神邪「あるいは、アール狙いですかね?」
山田「それがあったか。」
佐久間「Gとは別の意図で動いてる可能性か。既にGの計画が完遂しているなら、ありえるか? その気になれば殺されていたような行動は、その可能性も示唆しているが。」
2015年08月10日 11:38
>火剣獣三郎さん
さて、唐突(?)に出てきた老人。銃もロクに当てられず、すぐに逃げ出したところを見ると戦意はないのか…?しかし、普通に考えればこの場に出てきて銃をぶっぱなすというのは自殺行為に等しい。何か嫌な予感。どれほどの人物であっても油断大敵。関羽のエピソードも然り、相手を侮ったばかりに大敗北を喫することもある。項羽も劉邦を侮り、勝っているからと見逃し続けた結果、最後の最後で大敗北という結末。自分の力を過信したオネの行先は?果たしてオネを待ち受けているものとは如何に。
アールとの決着を終えたオネは止めを刺しませんでした。人間の味方になっても妹は妹と割り切っているのか。それとも、全力を尽くした者として讃えているからなのか。その心中は本人以外は分かりません。
さて、全く負けるイメージの湧かない無敵のオネが果たしてどうなるのか。オネが大ピンチを迎える場面はあるのか…?
2015年08月10日 11:39
>アッキーさん
ここで謎の老人登場。しかしてその実態は、タイトル通りアウトマか。さて、この辺りで大博士の伏線回収といたしましょう。大博士ジィがアウトマに託した魔法使い壊滅の一手とは如何なるものか。アールとの戦いで消耗しているオネ相手ならまだ勝機が存在するのか。かつてチュルーリが封印されたように、オネ達も封印可能です。特に精霊は基本的に精霊界に存在しているため、この世界に居続けるだけで消耗していく。なので人間よりも封印されやすいという側面が存在します。チュルーリを封印し、自らも封印の要石となったオネならば当然封印のことも頭にあるでしょう。しかし、封印は魔法によるものでマチネでそんなことが出来るのか。仮に出来たとしても、大魔法使いクラスの術者がいなければすぐに破られる可能性大。オネの封印は実行可能か、不可能か。
あるいはオネを引きつけている間にアールをどうにかする作戦か。その場合、今後の脅威となるのでアールを殺すのか、はたまた魔法使いに対抗出来るとして生かすのかは不明ですね。
さて、この老人の取った行動は無謀とは言えば余りにも無謀。なのでオネも不思議に思って罠の可能性を疑っています。果たして老人の行動の真意は如何に。

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