英雄再来 第十八話 再会11

一休みしよう。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

「はあ、はあ、はあ…。」

恥ずかしさのあまり溶解液を撒き散らしていた飛鳥花は、ある程度放出したところで感情の昂ぶりも収まり、それと共に溶解液の放出も止まった。辺りの地面などは多少溶けたが、フォウルはアールを連れて土神霊(グノメ)の影に隠れていたので無事だった。

「ごめん、飛鳥花。ちょっと強引だった。」

「あー…。」
飛鳥花は溜息を吐きつつ、少しだけ唇をとんがらせた。
「いいよ、別に…。ま、あたいもまだまだ精神修行足りねーってことか…。」


「はわわわわ…。」

「ん?」
飛鳥花がふと見るとアールが土神霊の影から少しだけ顔を出した状態で怯えていた。

「はわわわわ…はわわわわ…!も、申し訳ありません、飛鳥花義理姉様…!ワタシのせいで…!」

「アール、大丈夫。飛鳥花は怒ってない。これがいつもの飛鳥花。オ姉ちゃんがツヲ兄ちゃんに喧嘩をふっかけるようなものだから。」
フォウルが怯えるアールを説得しようとするが、アールは迷子の子猫のような潤んだ瞳だけを見せて土神霊の影から出てこようとしない。

「そんなにビビんなよ…。なんか、あたいが悪いみたいじゃんか…。まあ実際、溶解液とか出しまくったらビビるか…。ん?つまり、みたいじゃなくて、マジであたいが悪いのか?」
飛鳥花はバツが悪そうに頭を掻いた。

「そ、そんなことはありません!悪いのは全てワタシです!ごめんなさい…。」

「ああ、もう!」
怯えるアールを見ていて飛鳥花は背中がムズ痒くなる感覚に襲われ、いてもたってもいられなくなった。そして、土神霊の後ろまで行ってアールの頭を軽く小突いた。
「あたいは湿っぽいのとか、煮え切らねーのとかは嫌いなんだ。そこまで気にすんなよ。て言うかオネとツヲの戦いを見てたら、こんなのどーってことねーだろ。」

「ひゃ、ひゃい…。」


その瞬間、壁の外に大きな水柱が立った。


「…ツヲの奴、またおっぱじめやがったか…。」

「そうみたい。多分、戻ってくるまでしばらくかかると思うから、その間に食事でもしとく?」

「いいね。さっき肉食ったけど、まだ足りなかったんだ。」
さっきの肉の味を思い出して飛鳥花は口元を拭って、唾を飲み込んだ。

「で、ではお食事の方をお持ちします。お二人はあちらに腰掛けてお待ちを…。」
アールが指し示した石の机と椅子は飛鳥花の溶解液によって大分と溶けていた。
「は!はわわ…。」

「大丈夫。土(ソイル)。」
フォウルの魔法で土が集まり、机と椅子は元に戻った。
「直すついでに数も増やしといた。これで全員座れる。」

「流石です、フォウルお姉様。」
アールはパチパチと拍手をすると共に尊敬の眼差しでフォウルを見つめていた。

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この記事へのコメント

2015年09月07日 00:26
ほのぼのが続いていますが、水柱は姉弟対決ふたたびの合図!?
しかし何故か、それを含めて穏やかに思える・・・残酷すぎる戦いを見てきた後だから、そう思えるのかもしれません。

八武「恥ずかしさのあまり◎◎液を撒き散らしていた飛鳥花。」
山田「伏字にするな!」
佐久間「この貴重な平穏を噛み締めよう。」
維澄「佐久間が平穏を? どうりで雨が。」
佐久間「バトル99パーセント、平穏1パーセントが私のモットーだ。100パーセントではない。」
山田「99パーセントでも多すぎる!」
神邪「僕は平穏9割ですかね。やっぱり平穏が一番ですよ。」
山田「それも冗談に聞こえるが・・。」
八武「では、もっと飛鳥花ちゃんに恥ずかしさを味わってもらう方法を考えようではないか。」
山田「お前が考える必要は無い。ツヲが考えるさ。」
2015年09月07日 23:00
火剣「オネツヲの戦闘と比較したらどんどん感覚が麻痺してくる」
コング「僕もよくチュルーリと比較して善良な市民だと認識した」
ゴリーレッド「ハードルを下げなさい」
火剣「アールは今は生身の人間と変わらないから余計怯えるか」
コング「オネと闘った時のゼロではないのか」
火剣「それにしてはまだ飛鳥花のことをおねーさまと」
ゴリーレッド「もう大丈夫だとは思うが」
コング「ほのぼのシーンはそう長くは続かない。ここに思いもよらぬ敵が現れ、アールを急襲」
火剣「思いつかないし、オネツヲがいれば安心」
コング「急襲して吸収」
火剣「18号か」
ゴリーレッド「敵ではないが、絶対に心が折れることはないソルディエルは、アール以外と心を通わせることはない」
コング「ここはツヲ紳士の出番。いちばん人間ぽい」
火剣「争いは避けたい。飛鳥花を止めねば」
コング「あとはアール一人が留守番の時、狼とハイエナがアールの入浴中に」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
ゴリーレッド「それしかないのか」
火剣「魔法使いはオネを見たら逃げるか」
2015年09月13日 02:19
>アッキーさん
この水柱は実は対決の合図ではなく、第十八話 再会9のツヲさんの癇癪(?)の水柱です。この姉弟はどれだけ対決しても命のやり取りをする関係にはない。だからこそある種の穏やかさがあるのかもしれません。
閉鎖的なところで育ったために羞恥に対する耐性があんましない飛鳥花はいつものごとく暴走。段々と飛鳥花をどうやって恥ずかしい目に遭わせようかということに目的がすり替わっているのかも…。とにもかくにも平穏。これを平穏と言い張っておきましょう。どうころんでも、平穏が終わる時が来るはず。それが早いか遅いかの違いだけ。それまではこの平穏を噛み締める…。さあ、ツヲさんのせいでまた飛鳥花が恥ずかしい目に遭うのか?
2015年09月13日 02:20
>火剣獣三郎さん
オネとツヲさんの感覚や常識は人間からすれば大分とズレていたり、スケールが大きかったり。特殊な例と比べても参考にはならない?
アールは現在、魔法がほとんど使えない状態ですね。言ってしまえば蛹や繭のようなもの。完全復活には時間がかかりそうです。オネとの戦いでは覚悟を決めて啖呵を切ったアールですが、基本的な性格は変わらず。普段はこんな感じのドジッ娘のままです。人間はそうそう変わらないということではありますが、少しずつ変化もする。アールは以前のゼロの時よりも精神的に強くなっているはず。
取り敢えず一段落したので飛鳥花も「姉」に反応しなくなりました。何かの機会にまた恥ずかしさがぶり返すかもしれませんが。
ほのぼのとしたシーンが続きますが、いずれはこの平穏も崩れる時がくるでしょう。しかし、オネとツヲさんがいる限り、安泰か?狼もハイエナもライオンですら寄り付かない。魔法使いならば、膨大な魔力を持つチュルーリ一家を見たら99パーセントは逃げ出すでしょうね。
問題の一つというか、火種になりそうなのはマチネの一員であるソルディエルの存在。ソルディエルは魔法使いを恨んでいるのに何ら変わりはないし、オネはマチネの人間を大分と殺した。ツヲさんがどうにか仲を取り持てるかの。

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