英雄再来 第二十話 オネの暇潰し8

オネの読書その3。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

続きを読みますか?

⇒【はい】






(それから、どうなった――――。)
オネは本の続きをめくった。





【スライマの まぶしいひかり!スライマの 体から まぶしいひかりが ほとばしる!

しかし 戦士は 目をつぶってかわした!】


一度見せてしまった手の内の眩しい光。短時間に同じ攻撃が通じるほど甘い戦いではなかった。しかし、そんなことはスライマもよく分かっていた。スライマの狙いは眩しい光をかわすために戦士が目をつぶらせることにあった。視界を閉じたことにより戦士の追撃の手が緩む。そう考えての眩しい光だった。

だが。

『グギャア!』

戦士の追撃はスライマに命中した。戦士は先ほどまで見ていた一瞬前の過去の光景を頼りにスライマに攻撃を当てたのだった。

羽根を持たない限り、空中で姿勢を変えるなど至難の業。スライマは特技を放つので精一杯。視界を閉ざしていても歴戦の戦士にとって感覚だけで敵に攻撃を当てるのはそう難しいことではなかった。

だが、その攻撃はスライマを倒すのには至らなかった。攻撃が大雑把になってしまったからである。それこそがスライマの真の狙いだった。


【スライマにかかっていた 魔封じが 切れた!】


スライマはここぞとばかりに呪文を唱える体勢に入った。


【スライマの 『炎の中級呪文(ベギ・ラマ)』!しかし 魔力が 足りない!】


『!?』

スライマの魔力が枯渇していた。僅かに残ってはいるが、もはや『炎の初級呪文(ギ・ラ)』を撃つことすらできなかった。

(『いつの間に…!?まさか、さっきの攻撃は特技『魔力破壊(MPブレイク)』!?』)

先ほどの攻撃がスライマを倒すのに全く至らなかったのも当然である。戦士が放った攻撃は相手の魔力に損傷を与える特技『魔力破壊(MPブレイク)』だったのだから。

仮に追撃を完全に決めたとしてもスライマを倒すには至らなかっただろう。それよりも戦士は二手、三手先の戦闘を読み、自分の有利になるようにスライマの魔力を破壊する攻撃を撃っていた。魔法を封じていながら魔力の根本を潰しに来るとはスライマも読めていなかった。戦士がここまで念入りに魔法対策を仕掛けてくるのは誤算だった。

「俺の…勝ちだ…。」

戦士の台詞は慢心から来る言葉ではなかった。互いに渾身の一撃をもらってはいるが、体格差によって戦士の方が傷は浅かった。一方のスライマは、魔法を完全に封じられた。眩しい光も手の内を知られてしまった以上、奇襲性はない。特技が放たれる瞬間に目をつぶれば、その攻撃を交わせることは実証済みである。
もちろんスライマがまだ魔法を使えるのならば話は別である。眩しい光を放った後にすぐに移動したり、放つフリをしながら他の魔法と組み合わせたりすれば戦術の幅は大いに広がる。
小さな体に秘められた大きな力。しかし、その力を適切に計り、適切に対処すれば勝てない相手ではない。意外性による優位性を失ったスライマに勝ち目はなかった。










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この記事へのコメント

2016年02月13日 23:54
白熱した、見ごたえのあるバトルでした。悲しい戦いではありますが、やはり燃えます。
戦士の勝利・・・? しかし、まだ何かある気がしてなりません。この本が本編とどのような関係性を持っているのかも謎。気になる気になる。

佐久間「続きが気になる。」
山田「戦士の勝ちか・・。」
佐久間「スライマ相手にはな。」
山田「それが気になっている。ここにいる魔物は、スライマ1体だけなのか?」
2016年02月14日 15:30
>アッキーさん
読み合いも含めた激しい攻防の末に勝利を手にしたのは戦士…?しかし、本にはまだ続きがあるようで…。この本の存在はオネの単なる暇潰しで終わるのか、それとも壮大な何かの伏線なのか。
この帰らずの草原をその名の通りにしているのがスライマであることは間違いありませんが、他の魔物も存在しているのか?答えは次回で。

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