英雄再来 第二十話 オネの暇潰し10
オネの感想。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
(うむ、いい戦いだった…。やはり、死力を尽くした戦いというものはどのような結末を迎えようともいいものだ…。)
心の中でそう思いながらオネは本の続きをめくろうとした。が、本は破れていて続きはなかった。
「何?これで終わりだと?魔王との戦いはどうなったのだ?」
オネは不満を口にしたが、ないものはどうしようもなかった。
(破れているということは続きがあったということ…。しかし、それを私に読ませないだと…?最後の最後で水を差されては不完全燃焼ではないか…。)
「ほほう…。これは、ひょっとして私に対する挑戦か…?」
オネは半笑いで手のひらに炎を作り出した。その時、外から声が聞こえてきた。
「オ姉ちゃーん。ツヲ兄ちゃんを連れてきたよー。」
「ほほう?ここがフォウルの言ってた隠し部屋?この場所は随分と水を欲しがっているね。」
両腕のない少女フォウルが土神霊(グノメ)で作った腕で、目の見えない兄のツヲの手を引きながら隠し部屋のオネのところへやってきた。
「かかかっ。」
オネは手のひらの炎を消して、本を机の上に置き、ツヲ達の方にやってきた。
「ちょうど良かった。」
オネは軽くツヲの手を叩いた。
「ツヲ、今から戦おう。」
「え?」
その日、空に上がった炎の柱は合計十三発だった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
(うむ、いい戦いだった…。やはり、死力を尽くした戦いというものはどのような結末を迎えようともいいものだ…。)
心の中でそう思いながらオネは本の続きをめくろうとした。が、本は破れていて続きはなかった。
「何?これで終わりだと?魔王との戦いはどうなったのだ?」
オネは不満を口にしたが、ないものはどうしようもなかった。
(破れているということは続きがあったということ…。しかし、それを私に読ませないだと…?最後の最後で水を差されては不完全燃焼ではないか…。)
「ほほう…。これは、ひょっとして私に対する挑戦か…?」
オネは半笑いで手のひらに炎を作り出した。その時、外から声が聞こえてきた。
「オ姉ちゃーん。ツヲ兄ちゃんを連れてきたよー。」
「ほほう?ここがフォウルの言ってた隠し部屋?この場所は随分と水を欲しがっているね。」
両腕のない少女フォウルが土神霊(グノメ)で作った腕で、目の見えない兄のツヲの手を引きながら隠し部屋のオネのところへやってきた。
「かかかっ。」
オネは手のひらの炎を消して、本を机の上に置き、ツヲ達の方にやってきた。
「ちょうど良かった。」
オネは軽くツヲの手を叩いた。
「ツヲ、今から戦おう。」
「え?」
その日、空に上がった炎の柱は合計十三発だった。
この記事へのコメント
単なる暇潰しではない、何らかの示唆があるのでしょうか。
佐久間「なるほど、オネは魔王との戦いを再現しようとしたんだな。」
山田「再現できてねーよ!」
佐久間「それは私に対するツッコミか? それともオネに対するツッコミか?」
山田「・・両方だな。シリアスかと思ったら、ツヲが犠牲になっていた・・・何だこれ。」
佐久間「ツヲは犠牲になったのだ・・・オネの暇潰しの犠牲にな・・・。」
山田「それはその通りだから困る!」
単なる暇潰しで発掘された小説だったのか、それともマチネの秘密の一端だったのか。破けていたのか破られたのかは分かりません。破れたから捨てられることになったのか、破られて捨てられるところだったのか…?
そして、オチはやっぱりツヲさんへのしわ寄せとなります。これは昔からのチュルーリ一家でのお約束。昔でも、こんな光景は繰り広げられていました。理不尽と戦うツヲさん。
オネ魔王が現れたら高速で逃げ出したいところですが、魔王からは逃げられませんので出会ったが最後…。結局、ツヲさんは犠牲になったのだ…。
さて、次回からは第二十一話を掲載する予定です。ちょっと書き貯めないといけないので、しばらくは低速更新だとは思いますが、仕事の山場は乗り切ったのでゆっくりと取り戻していきたいと思います。