2017年2月5日

2017年2月5日

今日、ルビデがやって来た。

「やあやあ、千花白龍さんよ。久しぶり、と言うのは変な気もするが、久しぶりは久しぶりだ。ブレインチャイルドであるが故にいつでも会えるというのにな。」

ルビデは通常モードの、悪魔らしい不敵な笑みを浮かべている。

「小説を書けなくなったんだってな。更新も随分と滞っているぞ?仕事が忙しい、風邪を引いた、色々と理由があっていいじゃないか。」

本題に入る前の前口上に嫌味を混ぜてくる、いつものルビデのスタイルに安心する。

「むかつくなぁ、その分かってます顔…。…まあいいか。この際だからはっきり言おう。お前は小説を書けなくなったんじゃない。書く必要がなくなったんだ。分かるか?お前は一人じゃなくなったからだ。」

分かる。

「昔を思い出せ。職場では新人で非正規雇用。次から次へと働く場所が変わった。一年以上同じ場所で働くことなく、その場所で培った色々をフルに活かすことの出来ない場所へと何度も変わった。失敗も色々あった。人付き合いだって苦手な部類だ。お前は一人だった。」

そうだった。

「しかし、今の職場は三年目。真面目に頑張るスタイルが評価されて、最早職場に居なくてはならない存在だ。最も掛け替えのない人と思っている人間と、便利な道具だと思っている人間のどちらが多いかは分からないがな。人付き合いにも慣れてきた。たくさんの職場を回って、色々な人間と関わったからな。家族とだって一緒だ。お前は一人じゃなくなった。」

そうだね。

「だから、小説を書けなくなったんだ。もう書く必要がないからな。小説とは孤独を書き連ねるものだ。心の叫びを書き付けるものだ。満たされているやつなんかに書けるはずがない。何かを必要とし、何かを求め、何かを探す、そんな探求の旅が小説を書くことなのだ。
よかったじゃないか。満たされたということだ。おめでとう、千花白龍。これで小説書きから中退出来るぞ。」

それは困る。

「困るか?」

困る。
考えることだけが私に出来る唯一のこと。高校生の時、ずっとそう思っていた。そして中学生の頃にオリジナルの演劇の台本を書いたことをベースに小説を書き始めた。考えることと、それを書くことは全部繋がっているから。
書くことで頭の中が整理される。書くことで次のことが考えられるようになる。今だって、小説の片鱗がずっと頭の中でくすぶっている。書くためのエネルギーは膨大な量が必要で、どうにも誰かの一押しを待っていた気がする。でも、待っているだけでは風は吹かない。自分で風を捕まえに行かなくてはならない。

「それで風邪を引いたと。」

ここで、それ言っちゃう?

「ふん…。元気そうで何よりだ。」

そう言ってルビデはスタスタと歩いて行ってしまった。

ありがとう。あの頃の気持ちを思い出せた。小説を書くことは私にとって必要なもの。そして大切なもの。いや、小説というよりかは、何かを書くことそのものだ。小説はその一形態に過ぎない。何かを考え、その何かを書き続けること。久々に原点に戻ってみよう。行き詰まった時は原点回帰だ。ポケモンのサン・ムーンも、少年少女のひと夏の冒険というコンセプトに原点回帰したように。後戻りをする訳じゃない。ここまで進んだからこそ昔は見えていなかった光景が見えるかもしれないから、もう一度同じ場所を訪れようという話だ。
さあて、原点に立ち返ろう。小説を書くようになった、あの頃の気持ちをもう一度思い出してみようか。

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