英雄再来 第二十五話 ツヲの覚醒3
さあ、迎えに行こう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ただいま。」
マチネの巨大防壁の頂上に戻ってきたツヲは目を開けてオネ、フォウル、アール、飛鳥花の顔を見た。
(久々に皆の顔を見たなあ。飛鳥花ちゃんの顔は初めて。)
「愚弟、目が戻ったのか!…かかかっ、ようやく先に進めるようになったか。」
「おめでとう、ツヲ兄ちゃん。」
目玉が戻ったことに注目してオネとフォウルは温かい目でツヲを見る。しかし、アールと飛鳥花は赤面していた。
「あの、ところでツヲ兄様…。」
「まず服を着ろ!服を!」
「あ…。」
ツヲは先の程の変身で服を失っていたのだった。
「改めて、ただいま。」
マチネの跡地で見つかったボロボロの服の中でまだ使えそうな部分を合わせてアールが縫った普通の服を着て、ツヲは再び皆の前に姿を現した。
「おう、お帰り。かかかっ。」
オネは上機嫌でツヲを迎える。ツヲの目玉が戻ったことが嬉しいのだ。
「戦いは一瞬で決着、目も再生していい感じだな。」
(そろそろ愚弟ではなく、ツヲと呼び直してもいいか…?)
「ったく、ツヲの奴…。」
飛鳥花はまだ赤みの引かない顔のまま溜息を吐いた。
「ツヲ兄様は半分精霊だから人間の常識から少しズレているので…。」
アールも飛鳥花に同意しながら苦笑い。しかし、フォウルとオネは服に関しては無頓着。
「なくても別に…。」
「オマケみたいなものだからな。かかかっ。」
「フォウル姉様もオ姉様ももう少し恥じらいを持ってください!」
アールはホッペを膨らませた。
「ところで、ツヲ。何であたいばっかり見てるんだ?あたいの顔に何か付いているか?」
「いやあ、せっかく視力が戻ったし、飛鳥花ちゃんの可愛い顔をちゃんと見ておこうと思って。」
「ばっきゃろう!恥ずかしいこと言ってんじゃねえよ!」
「そうそう、目玉と言えば戻ったことで更に広範囲のことが分かるようになったんじゃないか?例えばツレエとフィベの位置とか。」
「どうかなあ…。んー。」
ツヲは風の国の方を凝視した。ツヲの瞳の色が薄れ、『真実の眼』が発動する。
「フィベは分からないね…。封印は壊れてるみたいだけど姿は見えないなあ…。」
そう言いながらツヲは雷の国の方を見る。
「ツレエとフィベ…?ツヲの他の妹、だっけ?」
飛鳥花が首を傾げる。
「そう、フィベはわたしの妹。」
「ツレエ姉様はわたしやフォウル姉様のお姉様です。」
「えっと…一番上がオネで、次がツヲ、その次がツレエ、か。」
「そうです、そうです。」
「んで、その次がフォウルで、えっと次がそのアレだな。フィベだな。そしてアールが末っ子。」
「そう。正解。」
「あっ!見えた!ツレエ発見!」
「えっ!?」
「お、いたか。」
「ん?封印が完全に解けてない?っていうか誰かと一緒に旅してる!?だ、誰だあの男は…!恋人!?ツレエの恋人か!?ちょ!?ツヲ兄さんは聞いてませんよ!こ、これは吟味する必要がありますねえ!ツレエに相応しいかどうかを念入りに!」
「こらツヲ、一人で騒ぐな。」
「ごめんよオ姉さん…。」
(ん?今、久々にツヲって呼んだ?)
オネも『真実の眼』を使って雷の国の方を見た。
「おお、いたいた。何だ、あいつは雷の魔法使いのトルマリンじゃないか。」
「え?ほんと?まあ、大魔法使いなら強さはいいか。だが強さが全てじゃないぞ!次は性格だ。これはすぐに迎えに行って面接をしないといけないな!じゃあオ姉さん、僕はツレエを迎えに行くよ!」
「ツヲだけだと心配だからあたいも一緒に行く。」
飛鳥花はドサクサ紛れにツヲの腕を掴んだ。
「同感。わたしも同行する。」
フォウルもスッとツヲの隣に並んだ。
「ツレエ姉様が帰って来られるんですね!お祝いの準備をしなくては…!」
「かかかっ。留守は任せろ。」
こうして、ツヲ、飛鳥花、フォウルはツレエを迎えに雷の国方面へと向かい、オネとアールは留守番をしながら生き別れの姉妹の到着を待つこととなった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ただいま。」
マチネの巨大防壁の頂上に戻ってきたツヲは目を開けてオネ、フォウル、アール、飛鳥花の顔を見た。
(久々に皆の顔を見たなあ。飛鳥花ちゃんの顔は初めて。)
「愚弟、目が戻ったのか!…かかかっ、ようやく先に進めるようになったか。」
「おめでとう、ツヲ兄ちゃん。」
目玉が戻ったことに注目してオネとフォウルは温かい目でツヲを見る。しかし、アールと飛鳥花は赤面していた。
「あの、ところでツヲ兄様…。」
「まず服を着ろ!服を!」
「あ…。」
ツヲは先の程の変身で服を失っていたのだった。
「改めて、ただいま。」
マチネの跡地で見つかったボロボロの服の中でまだ使えそうな部分を合わせてアールが縫った普通の服を着て、ツヲは再び皆の前に姿を現した。
「おう、お帰り。かかかっ。」
オネは上機嫌でツヲを迎える。ツヲの目玉が戻ったことが嬉しいのだ。
「戦いは一瞬で決着、目も再生していい感じだな。」
(そろそろ愚弟ではなく、ツヲと呼び直してもいいか…?)
「ったく、ツヲの奴…。」
飛鳥花はまだ赤みの引かない顔のまま溜息を吐いた。
「ツヲ兄様は半分精霊だから人間の常識から少しズレているので…。」
アールも飛鳥花に同意しながら苦笑い。しかし、フォウルとオネは服に関しては無頓着。
「なくても別に…。」
「オマケみたいなものだからな。かかかっ。」
「フォウル姉様もオ姉様ももう少し恥じらいを持ってください!」
アールはホッペを膨らませた。
「ところで、ツヲ。何であたいばっかり見てるんだ?あたいの顔に何か付いているか?」
「いやあ、せっかく視力が戻ったし、飛鳥花ちゃんの可愛い顔をちゃんと見ておこうと思って。」
「ばっきゃろう!恥ずかしいこと言ってんじゃねえよ!」
「そうそう、目玉と言えば戻ったことで更に広範囲のことが分かるようになったんじゃないか?例えばツレエとフィベの位置とか。」
「どうかなあ…。んー。」
ツヲは風の国の方を凝視した。ツヲの瞳の色が薄れ、『真実の眼』が発動する。
「フィベは分からないね…。封印は壊れてるみたいだけど姿は見えないなあ…。」
そう言いながらツヲは雷の国の方を見る。
「ツレエとフィベ…?ツヲの他の妹、だっけ?」
飛鳥花が首を傾げる。
「そう、フィベはわたしの妹。」
「ツレエ姉様はわたしやフォウル姉様のお姉様です。」
「えっと…一番上がオネで、次がツヲ、その次がツレエ、か。」
「そうです、そうです。」
「んで、その次がフォウルで、えっと次がそのアレだな。フィベだな。そしてアールが末っ子。」
「そう。正解。」
「あっ!見えた!ツレエ発見!」
「えっ!?」
「お、いたか。」
「ん?封印が完全に解けてない?っていうか誰かと一緒に旅してる!?だ、誰だあの男は…!恋人!?ツレエの恋人か!?ちょ!?ツヲ兄さんは聞いてませんよ!こ、これは吟味する必要がありますねえ!ツレエに相応しいかどうかを念入りに!」
「こらツヲ、一人で騒ぐな。」
「ごめんよオ姉さん…。」
(ん?今、久々にツヲって呼んだ?)
オネも『真実の眼』を使って雷の国の方を見た。
「おお、いたいた。何だ、あいつは雷の魔法使いのトルマリンじゃないか。」
「え?ほんと?まあ、大魔法使いなら強さはいいか。だが強さが全てじゃないぞ!次は性格だ。これはすぐに迎えに行って面接をしないといけないな!じゃあオ姉さん、僕はツレエを迎えに行くよ!」
「ツヲだけだと心配だからあたいも一緒に行く。」
飛鳥花はドサクサ紛れにツヲの腕を掴んだ。
「同感。わたしも同行する。」
フォウルもスッとツヲの隣に並んだ。
「ツレエ姉様が帰って来られるんですね!お祝いの準備をしなくては…!」
「かかかっ。留守は任せろ。」
こうして、ツヲ、飛鳥花、フォウルはツレエを迎えに雷の国方面へと向かい、オネとアールは留守番をしながら生き別れの姉妹の到着を待つこととなった。
この記事へのコメント
たたかう どうぐ
さくせん にげられない
佐久間「わかる。」
山田「ああ、お前も未来に妹がいたんだったな。やはり妹の相手は吟味したいのは共通の感覚か。」
佐久間「そこじゃない。服など無くてもいいという意見に激しく同意する。」
山田「激しく落胆した。」
佐久間「オネやフォウルとしては、ツヲの肉体を真剣に吟味する権利がありますねえ!」
山田「ありません。」
八武「しかしちょっと待ってほしい。服が無ければコスプレが出来ない。」
佐久間「それはそうだな。私が間違っていた。」
八武「うむ、コスプレ面接をしないといけないな。」
山田「せっかくオネがデレた、いいシーンなのに、お前らという貴様らは・・・。」
こじゅうとの ツヲの あっぱくめんせつ!
逃げるという選択肢がないトル君の運命や如何に。
服に関してはオネ、ツヲ、フォウル、フィベが無頓着で、ゼロとツレエは普通に服着る派ですね。多分、コスプレとかは自ら進んでするタイプではない気はしますが、飛鳥花と一緒なら色々な服を着てファッションショー的な感じで盛り上がるのでは?とも思います。そんな女子達のきゃっきゃウフフな場面も書きたいなあ…。
そうですね。ようやくチュルーリ一家も次々に合流してきて、それ以外の人も加わって、小さいながらもコミュニティが出来てきています。ツヲさんの妹ツレエと付き人(?)のトル君とも合流してもっと家族の団欒的なことが出来るといいなあと思います。