英雄再来 第十三話 魔王16

魔王とは魔法使いの頂点である。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

ペリドットはまず真正面にいたビィに襲いかかった。ペリドットの黒い腕から繰り出される黒い爪の一撃は加速を伴ってビィの王道具『一撃必殺(ハチサシ)』を一発で破壊した。

「!!」
「!!?」

その速さは尋常ではなかった。ビィの反応も、速さに自信のあったキュウの助けも間に合わなかったのだから。ビィに出来たのは咄嗟に腕を上げて防御出来たことぐらいである。王道具こそ破壊されたが、そのために致命傷だけは避けられた。しかし、その破壊の勢いは強く、ビィは地面に倒れ込んだ。

「がっ、は!!」

次にペリドットは急旋回してビィを助けようと接近していたキュウの足を刈り取りにかかった。キュウは前方宙返りで足への攻撃を交わすと同時に爆弾を投げ付けていた。だがペリドットはそれを空中で掴むと宙返り中のキュウの腹に叩き付けた。爆音と共にキュウは吹き飛んだ。

「ああああああ!!!!」

「ビィ!キュウ!」
駆け付けるティイの目の前にペリドットが迫る。
「このっ!!」
ティイは前方から迫るペリドットに向かって溶解液を吹き掛ける。ところが瞬間、ペリドットの姿が消えた。
(えっ!?)
ペリドットは高く飛び上がって頭上から襲いかかってきた。人間は空中からの攻撃に対して弱い。どんな生き物も重力の影響を受ける以上、地上での戦いが主だったものとなる。意識の上でもペリドットがここまで速く視界から消え、空高く飛んで攻撃してくるとはティイには想像出来なかった。ペリドットの一撃がティイの背中を切り裂いた。
「きゃああああ!!」


「てめええええ!!!」
「ぶっ殺す!!」

アイの応急処置が終わったオウとユウがペリドットに向かうが王道具はまだ使えない。二人は肉弾戦を挑んだがペリドットの身体能力は二人を完全に上回っていた。向かってくるオウを真正面から突っ込んで殴り倒し、ユウを蹴り飛ばし、特務隊でも相当の肉体派の二人をあっと言う間に地面に這いつくばらせた。


『害虫共、これが貴様らのお似合いの姿だ。地面に這いつくばり空を見上げる、これが正しい姿だ。非力で無力で愚かな存在。貴様ら如きが魔法使いに逆らおうなどと考えた時点でおかしいのだ。今まで数々の配慮を仇で返すような非人間的な存在が世界に唯一貢献出来るとするならば、それはもう何もせずにいることだ。そして、今までの自分達の罪を悔いて、死ね。』

今のペリドットの力は完全に特務隊の者達を上回っていた。

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